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【高知新聞】 【対日人権審査】政府は警鐘に向き合え

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 国連人権理事会の作業部会が日本の人権状況を審査し、218項目に及ぶ勧告をまとめた。
 前回2012年の審査と同様に、従軍慰安婦問題や、福島第1原発事故後の住民支援の継続などが盛り込まれた。今回は特定秘密保護法などで萎縮が指摘される「報道の自由」にも注文が付いた。
 日本の見解と大きく異なる課題や積年の外交問題も含まれるが、これが国際社会の日本への評価であることは間違いない。
 男女格差や民族・人種差別、性的少数者(LGBT)の権利問題など国際社会の人権意識は年々高まっている。先進国に高いレベルが求められるのも当然だ。政府は勧告に真摯(しんし)に向き合う必要がある。
 特に報道の自由への警鐘は重い。民主主義や国民主権の質が問われていると言ってよい。単に権力対メディアの問題ではなく、社会全体の課題として捉えたい。
 審査は、全ての国連加盟国を対象に行う「普遍的審査」制度に基づいて実施された。
 人権理の前身である国連人権委員会は人権侵害問題への対応が恣意(しい)的だと批判され、06年に人権理が発足した。普遍的審査はこれを機に、加盟国間の公平性や透明性を高める目的で08年に始まった。
 勧告を受けた国は項目ごとに受諾の是非を表明でき、人権理は受諾項目を最終的な勧告として採択する。法的拘束力はないが、経緯からも善処するのが加盟国の責務だ。
 日本が審査を受けるのは3回目になる。作業部会段階での勧告は初回の08年は26項目だったが、12年は174項目に急増した。
 審査制度の定着や人権意識の高まりも要因だろうが、日本への見方が厳しくなっている証しと解釈すべきではないか。今回、日本に質問を求める国が100カ国以上に及んだ。
 報道の自由の問題はその筆頭だろう。作業部会では、特定秘密保護法などによる報道の萎縮を懸念する意見が相次いだ。勧告では政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法4条の改正などを求めた。
 同じ趣旨の懸念や改善は5月に、国連特別報告者のデービッド・ケイ氏も報告書で指摘している。
 いずれも、16年2月の高市総務相(当時)の国会答弁を強く意識したものに違いない。高市氏は答弁で、政治的に公平でない放送を繰り返す放送局に電波停止を命じる可能性に言及した。
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の評価も厳しい。報道自由度ランキングで10年に11位だった日本は毎年順位を下げ、昨年とことしは72位だ。
 政府はケイ氏の報告に強く反発してきたが、それがまた評価を下げる結果になっていないか。指摘には謙虚に耳を傾けるべきだ。
 もちろん私たちメディアにも問題は突き付けられている。圧力にひるむことなく、毅然(きぜん)と権力と向き合わなければならない。

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