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【山陽新聞】 幼児教育無償化 待機児童解消も急がねば

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 安倍政権が「人づくり革命」の柱の一つに掲げた幼児教育・保育の無償化の具体策取りまとめが、来月上旬の決定に向けて佳境を迎えている。
 首相は少子高齢化を「国難とも呼ぶべき課題」と位置付ける。無償化で子育て世代の負担を減らし、少子化の克服につなげたい考えだ。
 政府が検討中の案では0~2歳児については、年収約260万円未満の住民税非課税世帯を無償化する。3~5歳児は当初、所得にかかわらず全世帯を原則無償化する方向だったが、高所得世帯には補助額に上限を設ける方向へ方針を転換した。ベビーホテルなど認可外保育施設も対象とし、月2万5千円程度まで補助する。当初案では費用は約8千億円と見込まれた。
 子育て費用の負担の重さは若者が結婚や出産に消極的となる一因である。子育て世代への支援を強化することに異論は少なかろう。
 ただ、無償化の費用は、2019年10月に消費税率を10%へ引き上げる際の増収分の一部で賄う。元々は1千兆円を超える国の借金返済に充てるはずだった。使い道の変更により、返済が遅れることになる。無償化の恩恵を受けるだけでなく、つけを回されるのも若い世代であり、慎重に検討する必要がある。
 3~5歳児では家計に余裕のある世帯も支援を受けられる。浮いた費用で塾や稽古ごとに通えば、教育格差が拡大しかねないとの指摘もある。
 忘れてならないのは、3年連続で増え、本年度は約2万6100人に上る待機児童の問題だ。待機児童を抱える世帯の多くには無償化の恩恵は届かない。まずは認可施設を増やし、希望者全員が入れるよう目指すべきではないか。
 2年連続で待機児童数全国ワースト2位の岡山市の担当者は「無償化で希望者が増え、悪循環に陥りかねない」と懸念を示す。無償化を急いで待機児童が増えれば、かえって困る子育て世帯もあろう。
 政府は民間企業に3千億円の拠出も求めて保育施設の整備を加速し、3年間で32万人分の受け皿を増やして待機児童をゼロにする計画を立てている。
 ただ、政府の保育需要の予測に対しては、以前から甘さが指摘されている。今年5月にも待機児解消の達成時期を本年度末から3年間先送りした。待機児童の受け皿としては、さらに多い88万人分が必要だとする民間シンクタンクの試算もある。受け皿拡大に当たっては、質が低下しないよう、待遇改善による人材確保や施設整備も求められており、これらの費用も掛かる。
 無償化の検討では、認可外施設を対象外としていた当初の案が「不公平だ」などと批判されると、一転して対象に加えるなど、十分に練られていない印象が否めない。限られた財源を幅広い子育て世帯の支援に最大限生かせるよう、十分議論を尽くしてもらいたい。

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