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【中国新聞】 パリ協定ルール 先進国を軸に合意探れ

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 温暖化対策の枠組み「パリ協定」が実効性を持つかどうか、雲行きが怪しくなった。気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)は協定の実施ルール作りについて、大半の作業を来年に持ち越し、閉幕した。
 予定を1日延期して交渉したが、先進国と途上国の溝は深かった。このまま行き詰まっては協定が空中分解しかねない中、欧州がリーダーシップを取り始めたのは光明だろう。日本も歩調をそろえ、貢献したい。
 パリ協定が効力を持つ2020年までに、取り組みを強化するとの内容も含めた決議は、一定の前進ではある。温室効果ガス排出の削減状況を、締約国会議で検証する。これまで大量に排出してきた先進国がまず削減を強化すべきだと途上国は主張していた。
 だが肝心のパリ協定のルール作りでは、先進国と途上国の意見の隔たりが埋まらなかった。
 他国との協力による温室効果ガスの削減を、自国の目標にどう組み込むか。途上国が温暖化の被害に対応するための基金の在り方をどうするか。これらの論点を巡り、対立した。
 背景に先進国への不信があるのは確かだ。とりわけ米国の協定脱退や資金支援の停止表明が大きいのは間違いない。
 エクアドルの閣僚は途上国を代表して「干ばつや洪水の被害に支援拡充が必要だ」と強調。海面上昇で国土消滅に直面する島国ツバルの首相は「早急に排出を止めねばならない」と訴えた。切迫した状況を、重く受け止めるべきだ。
 新たな対立軸も表面化した。危機にある島国と、「脱化石燃料」の流れでじり貧の産油国との反目だ。今後が憂慮される。
 協定ルール作りは結局、各国の主張を並べた長大な文書をまとめるにとどまった。来年、ポーランドであるCOP24で合意できるか。追加会合で妥協点を探るというが先は見通せない。
 対立の構図が複雑化する中、フランスのマクロン大統領の演説は救いだった。「欧州が力を合わせ、米国の代わりを務めよう」と述べ、資金面での貢献を拡大させると表明した。
 二酸化炭素の排出に課金し、削減を促す取り組みを欧州域内で加速させる。対策に消極的な国からの輸入品に国境税を課すとも述べた。注目したい。
 欧州が存在感を示す中、日本の動きが問われている。
 COP23会場でドイツの環境シンクタンクが発表した温暖化対策ランキングで日本は中国より下位の50位で「落第」とされた。また英国やカナダなど27の国と地方政府は、石炭火力発電の廃止へ連合組織を発足した。
 今や「脱石炭」は世界の潮流なのに、日本は石炭火力発電所を推進し、全く逆行している。国際社会からは厳しい声が上がっている。再生可能エネルギーの普及を一層図り、石炭との決別が求められる。
 だが政府の姿勢は後ろ向きと言わざるを得ない。米政権の環境施策に批判的なマクロン氏が呼び掛け、来月パリで「気候変動サミット」を開く。トランプ米大統領への配慮から、そこには安倍晋三首相ではなく、外相が出席するようだ。
 首相はむしろ、トランプ氏との親密さを生かして、パリ協定脱退を翻意させるよう粘り強く働き掛けてはどうか。

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