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【秋田魁新報】 国会代表質問 踏み込んだ政策論争を

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 安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問が衆院で行われた。首相の答弁は具体策への踏み込みに欠け、物足りないものだった。幼児教育の無償化については、3~5歳の全ての子どもの保育園・幼稚園の無償化と、低所得世帯の0~2歳児の無償化を挙げ、併せて保育の受け皿整備を前倒しする考えを示したが、いかに実現させるかには言及しなかった。
 厚生労働省のまとめでは、希望しても保育所などに入ることができない待機児童は今年4月時点で約2万6千人だった。昨年同期より約2500人増え、3年連続増加した。特定の施設への入所を希望しているといった理由で集計にカウントされない「潜在的な待機児童」は約7万人に上る。
 受け皿となる定員は増えているが、女性の就業が進む中で利用申し込みも増えており、政府目標の待機児童ゼロを達成するのは容易ではない。このまま無償化が進めば、子どもが入所できるかできないかで恩恵を受けられない人が出る可能性があり、待機児童対策は急務だ。
 介護の受け皿整備も同様だ。厚労省の推計では、介護に関わる人材は2025年度に253万人必要と見込まれるものの、現状のまま推移すれば37万7千人不足する見通し。首相は処遇改善を進める考えを示したが、産業界で人手不足が顕在化する中、介護人材をどの程度確保できるかは不透明だ。
 首相は消費税の増税分の一部を振り向け、子育てを含めた「全世代型社会保障」に転換すると主張しているが、財源にとどまらず、その道筋を示すべきだ。幼児教育の現場でも人材不足が起きている。受け皿整備に直結する問題であり、解消への具体策が何より求められる。
 首相は答弁で、有効求人倍率など都合のいい数字を並べてアベノミクスの成果を強調する一方、「地方で景気回復が実感できていない」といった指摘には明確に答えなかった。
 首相は当初、アベノミクスにより大企業や富裕層などが潤い、中小企業などへも恩恵が波及する「トリクルダウン」が起きるとしていた。だが、実際の波及効果は限定的で、大企業と中小企業、都市と地方の経済格差は拡大したとされる。
 立憲民主党の枝野幸男代表は、バブル崩壊後、自由競争や自己責任が過度に強調されるようになり、「中間層が減って低所得層が増え、社会が分断された」と指摘。そうした社会から支え合う社会へと変わることが必要と主張したが、首相はどう受け止めただろう。
 保育や介護関係の賃金が低いことや人材不足は、規制緩和に伴う施設運営の合理化や雇用の非正規化などが影響しており、安倍政権が進めた施策と無関係ではない。首相にそうした認識はあるのか。有効な施策を打ち出すために、まずは真摯(しんし)な反省を求めたい。

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