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【河北新報】 政府系金融機関/民業圧迫、改めねばならぬ

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 これほどまでに民業圧迫が横行していたとは驚きだ。
 日本政策金融公庫(日本公庫)や商工中金といった政府系金融機関のなりふり構わぬ営業姿勢のことである。全国地方銀行協会(地銀協)の内部調査で明らかになった。
 税金で一部負担する利子補給を利用し、最低で地銀の3分の1程度の低い金利を提示していた。最も健全な企業に対する平均利率が地銀は0.76%なのに対し、政府系は0.27%といった具合だ。
 これでは融資競争に勝てまい。地銀が融資機会を奪われるなどしたケースが、昨年4月から今年7月までに400件以上もあった。その60%強が日本公庫で、25%程度が商工中金だったという。
 政府系金融の本分である「民業補完」を逸脱した行為であり、税金を使った民業圧迫となれば許し難い。
 民間金融機関は、日銀のマイナス金利政策で貸し出しの利益が圧縮され、経営環境が厳しい。政府系との低金利競争も余儀なくされれば、体力は一層低下し、地域経済にも悪影響を及ぼしかねない。
 地銀協の協力を得て政府系金融機関による営業の実態について自ら把握し、早急に改善策を講じるのが、出資者である政府の責務だ。
 まず必要なのは業務の見直しだ。組織ぐるみの不正が露見した商工中金で、その温床となったのは「危機対応融資」だ。
 大災害や金融危機で業績が悪化した企業に対し、国の税金による利子補給で金利を優遇する。問題なのは、デフレや原材料高を含め幅広いケースで認められており、危機の定義が曖昧なことだ。
 その曖昧さを逆手に取り、自らの存続をかけ業績を上げるため、商工中金は全国規模で400を超す職員が書類を改ざんするなどして、経営が健全で本来は制度の対象にならない企業に融資していた。
 そうした犯罪的な行為に及ばずとも、制度の曖昧さを利用して有利な条件を示し融資案件を獲得しようとしたことは想像に難くない。
 危機の定義を明確化するとともに、大災害時のみに限るというように、制度運用にしっかりタガをはめるべきだ。
 前代未聞の不正で出直しが迫られる商工中金を巡って経済産業省は、有識者会議を設置し改革議論を始めた。ただ「今の収益構造では難しい」などとし、完全民営化には消極的な意見が多いという。
 政府系金融の「存在意義」について考えるとき、やはり危機時に倒産拡大を防ぐ「安全網」としての役割を無視することはできまい。
 民間金融機関がリーマン・ショックや東日本大震災のとき、十分に対応できなかったとして政府も完全民営化に慎重だ。であるなら、日本公庫を含め民業補完に徹するため、平時の体制や業務はどうあるべきか、この機会にしっかり論議を深める必要がある。

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