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【読売新聞】 森友検査院報告 不透明な値引きに疑念が募る

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 約8億円の値引きに疑問符が付いた。
 大阪府豊中市の国有地が学校法人森友学園に1億3400万円で売却された問題で、会計検査院が報告書をまとめた。
 「見積もりの算定根拠が不十分で、慎重な検討を欠いていた」と政府の姿勢を非難している。
 地中に埋まっていたごみの撤去費用を差し引いた結果、売却額は鑑定評価額の7分の1になった。「法令に基づき、適正な手続きで処分した」という政府の説明を否定した検査院の指摘は重い。
 財務省近畿財務局の依頼を受けた国土交通省大阪航空局が、ごみの量や撤去費用を推計した。専門業者を通さずに直接算定する異例の対応だった。ごみのある範囲や深さ、混入率などの数値を設定し、全体量を見積もった。
 検査院は、数値がいずれも過大だった可能性に言及した。見積もられた量の3割や7割しかない独自の試算結果も示した。
 値引きに至る不透明な実態が、改めて浮き彫りになった。
 算定根拠となる文書が、一部しか残っていないことも看過できない。掘削から処分までの工程にかかる「処分単価」の根拠は確認できず、検査院は、撤去費用の適正価格をはじき出せなかった。
 森友学園側とのやりとりにも、不透明な部分が残る。詐欺罪などで起訴された前理事長の籠池泰典被告は、近畿財務局職員に「ゼロ円に極めて近い形で払い下げを」と要望していたとされる。
 財務省は、昨年6月に売却が完了したのを理由に、学園側との交渉記録を廃棄したという。行政文書管理規則に沿った対応とはいえ、交渉過程を検証する手立てが失われたことも事実だ。
 検査院が甘い文書管理に苦言を呈したのはうなずける。
 刑事告発を受けた大阪地検特捜部は、近畿財務局職員らを背任容疑などで捜査している。
 背任罪の成立には、故意の立証が欠かせない。職員らが自身や学園に利益をもたらし、国に損害を与える目的で値引きをしたかどうかだ。立件のハードルは高いだろうが、検査院の報告書を踏まえて、捜査を尽くしてもらいたい。
 森友学園が問題の土地に建設を進めていた小学校の名誉校長には、安倍首相の昭恵夫人が就任する予定だった。首相は「私や妻は国有地の払い下げに一切関与していない」と強調している。
 値引きに、官僚の何らかの意図が働いたのか。政府には納得のいく説明が求められる。

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