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【山陽新聞】 「森友」値引き 今度こそ疑惑への説明を

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 あらためて疑惑が深まる内容である。学校法人「森友学園」への大阪府豊中市の国有地売却問題で、会計検査院はきのう、検査報告書を参議院に提出した。地中のごみの撤去費用として約8億円値引きした売却額の算定のずさんさを指摘し、「慎重な調査検討を欠いた」とした。
 売却に際しては、交渉に当たった財務省近畿財務局からの依頼を受け、国土交通省大阪航空局がごみ撤去費用を約8億2千万円と推計し、土地評価額の約9億5千万円に対して売却価格は約1億3千万円に下がった。この値引きが妥当だったかどうかが、森友学園問題の核心である。
 検査院は、航空局が多くの地点をボーリング調査したうち、最も深くまでごみが含まれていた場所のデータを全体に適用したため、ごみの量が過大になったなどと指摘した。改めて試算した結果、実際のごみの量は航空局の推計値に対し、3~7割だった可能性を示した。
 検査の過程で適正な撤去費を2億~4億円程度と見積もり、値引き額は最大約6億円過大だったと試算したが、報告には盛り込まなかった。
 ごみの処分単価の根拠となる資料などが破棄されており、詳細な算定は難しいと判断したとみられる。森友側と国側のやりとりを記録した資料も残っていなかった。検査院は改善を求めており、検証作業が十分できない文書管理のあり方も問われよう。
 報告により、国民共有の財産である国有地が不当な安値で売られた可能性は一段と強まった。ただ、検査院に捜査権はないため、不可解な値引きは、誰によってどんな意図で行われたのかまでは報告には盛り込まれていない。依然として謎が残っている。
 籠池泰典前理事長ら森友学園側からの度重なる要求を行政が受け入れたのか。あるいは、学園が建設を予定した小学校の名誉校長を一時務めていた安倍昭恵首相夫人の存在が影響し、行政の側が「忖度(そんたく)」したのか。大幅値引きについて籠池前理事長は、国会の証人喚問で「神風が吹いた」と述べており、さまざまな可能性が指摘されてきた。
 国はこれまで値引き額は妥当であり、土地売却は法令に基づいて適切に進めたと主張してきた。安倍晋三首相は「検査院の報告を待つ」とし、野党が求めた第三者も交えた調査委員会の設置を突っぱねてきた。
 検査院の報告を真摯(しんし)に受け止め、安倍首相ら政府関係者は今度こそしっかりと説明を尽くす責任がある。開会中の特別国会での論戦を通じ、国民の疑問を解消しなければなるまい。
 前理事長夫妻は、国からの補助金をだまし取った詐欺容疑などで逮捕、起訴されている。値引き問題については、大阪地検特捜部が近畿財務局関係者らを背任容疑で捜査している。司法の場でも徹底的に解明してもらいたい。

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