Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 「カブ王国」滋賀  種子保存の支援体制を
E200-KYOTO

【京都新聞】 「カブ王国」滋賀  種子保存の支援体制を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 これから旬を迎えるカブ。滋賀県は2016年の収穫量が5750トンと全国4位で、多彩な在来種が残る「カブ王国」といわれる。
 全国に通用する食材と見込み、県は今冬、県産カブを使った特別メニューを県内の飲食店で提供するキャンペーンを始めた。
 カブの在来種は近年、農家が保管していた種をもとに復活させるなど注目されている。しかし、生産量が少なく、流通しにくいなどの課題も抱える。豊かな食文化を伝えていくためにも、戦略的に守り、育てていってほしい。
 県ブランド推進課によると、滋賀のカブの在来種は、寒くなるにつれ全体が赤くなる赤丸かぶ(米原市)や井伊家に献上したとされる小泉紅かぶら(彦根市)、北之庄菜(近江八幡市)、万木(ゆるぎ)かぶ(高島市)など十数種が現存する。
 日野町原産の日野菜もカブの一種。明治以前から栽培されてきた「近江の伝統野菜」14種のうち5種をカブが占める。水稲に次ぐ特産物としての資格は十分だ。
 滋賀の食事文化研究会の食事バランス部会が今年の秋、伝統野菜や湖魚などの食材を今風にアレンジした、作りやすい料理の本を出版した。「若い人たちに食べてもらいたい」との願いからだ。ただ、代表の串岡慶子さんは「作り手が少なくなって、中には入手の難しい野菜もある」と明かす。
 カブは同じアブラナ科の植物と交配しやすく、原種の維持に手間がかかる。日野菜でさえ生産農家が10世帯以下に減り、危機を迎えた時期があった。原種保存のため組合を設立し、町を挙げて復活に取り組み、現在の隆盛を迎えた。
 県内各地で、カブの在来種を残そうと種の採取と選別が図られている。長浜市余呉町では昔ながらの焼き畑農法で赤カブを収穫しているが、その種は集落の男性が約50年間、一人で守ってきた。滋賀県立大の野間直彦准教授が引き継ぎ、約10年かけて種を増やした。
 大津発祥の伝統野菜近江かぶらも、もらい受けた種をもとに大津市が採取と選別を繰り返し、本来の肉質や形状に近づけようとしている。
 伝統野菜振興で先駆者の京都府は京野菜の種子保存を1970年代から始め、80年代末からブランド野菜として農家、農協と生産、販売を進めてきた。滋賀でも、まずは県が種子の保存や管理に積極的に関わり、新規参入者への営農指導から販売促進まで、関係機関と連携して支援することが必要ではないだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。