Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 製造業の不正  企業統治に問題がある
E200-KYOTO

【京都新聞】 製造業の不正  企業統治に問題がある

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 「ものづくりの国」日本の信用を揺るがしかねない不祥事がまた明らかになった。
 非鉄大手の三菱マテリアルが、子会社の三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウムで製品の検査データ改ざんなどの不正があったと発表した。
 同様の問題が神戸製鋼所で10月に発覚し、素材各社が自社点検を進めている中でのことだ。他にも不正事例が出てくるのではないか、と心配になる。
 今回判明した3社のうち、三菱アルミ以外の2社の製品は出荷先での安全性の確認が済んでいないという。航空機や自動車にも使われているだけに、安全確認を最優先に、問題の全容把握と再発防止を急いでもらいたい。
 高品質を誇ってきた日本の製造業の現場で、品質管理体制の不備や緩みが相次いで発覚しているのは偶然なのだろうか。
 神鋼が今月出した調査報告は、不正の原因として納期優先や収益重視の経営、工場まかせで本社の監視機能を欠いた組織体制などを挙げている。
 日産自動車の無資格従業員による新車の完成検査問題でも、工場の解決力に頼る企業風土が一因となり、人員不足の深刻さを検査現場と管理者層が共有していなかったことが報告書からうかがえる。
 両社とも、少なくとも現場では不正や法令違反を認識していた。しかし全社的な是正の動きにつながらず、「製品の安全性には影響しない」といった技術力への過信や、「顧客に気づかれない程度の品質低下は許される」との甘えが広がっていったとみられる。
 こうしたゆがみがなぜ放置されたのか。現時点の両社の調査が、この疑問に十分答えているとは言い難い。
 国際競争を勝ち抜くため、企業の経営多角化や部門ごとの専門化が進む。その中でトップが事業全体を見渡せず、統治が効かなくなっているとすれば問題だ。三菱マテの調査はこれからだが、親会社と子会社の間の壁や、風通しの悪さを指摘する声がある。
 三菱電線は社長がデータ改ざんを知りながら出荷を続けていた。こんなことは論外であり、そもそも経営者の資質を欠いている。
 顧客の信頼を得なければ企業は生き残れない。確かなものづくりには、それに関わる人員と設備の適切な配置が不可欠だ。だからこそ、経営陣と現場のコミュニケーションが重要なはずである。
 問題の背景を徹底究明し、産業界全体の教訓とするべきだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。