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【産経新聞】 クロマグロ 大西洋の管理を範とせよ

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 中長期を見据えた計画と厳格な規制こそ、資源回復の基である。
 一時絶滅の危機に瀕(ひん)した大西洋のクロマグロが増加し、「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)は、漁獲枠の拡大を決めた。対応の遅れが指摘される太平洋クロマグロの資源管理の範とすべきだ。
 ICCATは今年11月、2018年から毎年、東大西洋・地中海でのクロマグロの年間漁獲枠を拡大し、20年には17年比52%増まで枠を広げることで合意した。日本への割当量も20年には同45%増となる。
 すしに刺し身に人気の高いクロマグロの流通量が増え、価格低下への期待も広がる。一方で、世界の消費の8割を占める日本の主漁場であり、消費量の6割を頼る太平洋の状況は安定していない。
 大西洋では1990年代、乱獲による資源減少が顕著となった。ICCATでは漁獲量を大幅削減するとともに、30キロ未満の未成魚を原則禁漁とし、西大西洋の産卵場には漁獲制限を設けた。
 産卵を増やし、未成魚の成育を待ちながら総量回復につなげる。失われた10年を乗り越え、回復が確認された2013年以降、漁獲枠は拡大した。危機意識の共有と未来を見据えた国際協調をなし得た関係者の努力を多とし、そこに多くを学びたい。
 「中西部太平洋まぐろ類委員会」(WCPFC)でも昨年から30キロ未満の未成魚の漁獲量の制限に乗り出している。だが大西洋と比べて厳しさが足りない。日本は昨年度、約束量の上限を超えた。今年度も北海道近海での豊漁もあり、2年連続超過の見通しだ。
 規制強化に反発する国内漁業者に思い切った手を打てていない。高級魚として珍重される傾向から、水揚げ量の過少申告や未登録漁船が増えている。日本近海の産卵場での明確な規制もなく、資源量減少は避けられない。
 マグロ大国日本の資源管理の姿勢が問われている。12月のWCPFC年次会合では、初めて長期的な管理目標導入を提案する。本当なら未成魚の禁漁を含む抜本的な改革案が必要だ。
 国内漁業者への説得、持続可能なマグロ食の指導、中国や台湾、韓国など近隣国・地域との危機意識の共有など、課題は少なくない。大西洋での安定を背景に、いまが改革に絶好の機会である。

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