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【朝日新聞】 ジンバブエ 民主化の希望を見たい

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 日本から1万キロ以上も離れたアフリカ大陸は、多くの人びとにとって、いまだ遠い存在かも知れない。
 しかし、天然資源に恵まれ、10億人が暮らす大陸である。豊かな歴史と文化の地として、巨大な投資先として、幾度も見直され、日本政府もこの四半世紀、関係強化を図ってきた。
 その大陸を見渡せば、残念ながら、何十年も支配を続ける独裁色の強い政権が少なくない。民主主義や法の支配が広く根づいているとは言いがたい。
 そんなアフリカの政治に、新たな風を吹き込むことができるだろうか。長期独裁の象徴ともいわれたジンバブエのムガベ大統領が辞任した。
 国を治めて37年。93歳のムガベ氏は権力を自分の妻に譲ろうとして国軍の反発を招いた。事実上のクーデターである。
 かつてムガベ氏は白人支配に対する解放闘争の英雄だった。それが政権の長期化とともに強権姿勢を強めた。2000年代には白人から農場を強制収用して欧米と対立。経済は混乱し、ハイパーインフレを招いた。
 新大統領に就いたムナンガグワ元副大統領は「我々は新たな民主主義の始まりを目撃している」と述べている。
 だが、側近として長年ムガベ氏に仕えた人物である。国防相や情報機関トップを歴任し、反体制派の弾圧や市民の虐殺にかかわったともいわれる。
 来年に予定される大統領選挙が自由で公正なものになるか。それが、ジンバブエの民主化を占う試金石となろう。
 アフリカで民主主義が滞るのは、欧州列強による植民地支配の負の遺産ともいえる。国境線は言語や文化、民族を無視して引かれた。独立後の政権は、国民を束ねるために強権的な手法に走る傾向があった。
 ジンバブエに限らず、赤道ギニア、カメルーン、ウガンダ、チャド、スーダンなど、20年を超す長期政権が少なくない。
 7年前のチュニジアの革命は、23年続いた政権への国民の怒りから起きた。そのうねりが「アラブの春」を生んだ。
 もしジンバブエに国民本位の新たな政治が芽生えれば、大陸全体の民主化の進展に影響を与える可能性もあるだろう。
 日本は1993年からアフリカ開発会議を開いて首脳外交を強めてきた。民間企業による貿易や投資、国際機関やNGOを通じた関わりも深まっている。
 アフリカが秘める魅力と発展の可能性は底知れない。政変や人道危機などに限らず、もっと多様な関心の目を向けたい。

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