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【読売新聞】 核軍縮賢人会議 粘り強く「橋渡し役」を務めよ

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 核抑止力の意義を認めつつ、核軍縮を進める。唯一の被爆国である日本は、その困難な道を主導せねばならない。
 外務省が広島市で「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の初会合を開いた。核保有国と非保有国の「橋渡し役」を務めるためだ。日米露や、核兵器禁止条約を推進したエジプトなどの識者15人が参加した。
 7月に採択された核兵器禁止条約は、核保有国が非現実的だとして参加せず、日本も同調した。だが、核廃絶に背を向けるわけではない。その姿勢を具体化するのが賢人会議である。
 外相時代に会議を提案した自民党の岸田政調会長は初会合で「核兵器国を巻き込まなくては、現実は一歩も動かない。何とか状況を打開できないか」と強調した。
 核軍縮を巡って立場の異なる国の専門家が被爆地に集う。被爆者の話を聞き、率直に意見交換する。その意味は小さくない。
 2018年春の次回会合を経て、4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会への提言をまとめる予定である。
 核軍縮を論議する再検討会議は15年の前回、最終文書を採択できず、決裂した。NPT体制の形骸化を避けるため、建設的な議論の土台を見いだす必要がある。
 賢人会議では、「禁止条約の背景には、軍縮が進まないことへの苛立(いらだ)ちがある」との見方が出た。「北朝鮮の核開発は進展している。過去の対話は実効性がなかった」として、安全保障環境の悪化を指摘する見解もあった。
 市民団体は、日本の禁止条約参加を求めた。だが、形だけ核兵器を禁じても、保有国が加わらない限り、軍縮は一歩も進まない。
 日本政府は、まず保有国の核兵器削減を優先し、極めて少ない水準まで減った段階で法的な枠組みを設けるべきだと主張している。現実的な提案と言えよう。
 重要なのは、北朝鮮に核開発を断念させることで、揺らぎつつあるNPTの不拡散体制を再構築することだ。同時に、世界の核兵器約1万5000発の約9割を持つ米露などに実効性ある軍縮を真剣に働きかけねばなるまい。
 10月には、国連総会第1委員会で、日本提出の核廃絶決議が採択された。「核兵器のない世界の実現に向けた様々なアプローチに留意する」と明記し、核保有国の米英も共同提案に加わった。
 保有国を確実に巻き込み、核軍縮の機運を醸成する努力を粘り強く続けることが肝要である。

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