Home > 社説 > ブロック紙 > 中日新聞 > 【中日新聞】 広がる品質不正 製造各社は徹底検証を
E045-CHUNICHI

【中日新聞】 広がる品質不正 製造各社は徹底検証を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 日本のものづくりを巡る品質不正は経団連会長会社の東レにまで広がり、榊原定征会長は加盟各社に点検を求めた。製造業に経年劣化の兆候はないか。この機を逃さず徹底した検証が必要だ。
 アルミ製品などで神戸製鋼所のデータ改ざんが明らかになった十月、本紙は社説で「ものづくりは大丈夫か」と速やかな点検を求めた。あれから二カ月。品質を巡る製造業のデータ改ざん不正は、三菱マテリアル子会社や東レ子会社へと広がり、記者会見が相次いでいる。
 各社が真摯(しんし)に検証を進めた結果の公表なのだと思いたい。ところが東レは一年以上前に把握していたにもかかわらず「この十一月初旬にインターネットに不正に関する書き込みがあり、うわさとして流れるよりも」と公表した理由を説明。リーダー企業としての自覚の乏しさに驚かされた。
 日本の製造業の取引先は世界に広がり、品質不正には航空機から自動車まで海外の有力企業や政府も強い関心を示している。安全性への疑念は払拭(ふっしょく)されておらず、国内では関西電力、九州電力が安全確認に時間が必要として原発の再稼働延期を決めた。
 品質不正では現場の担当者や組織が独自の判断で規格を逸脱し、それを隠蔽(いんぺい)するためにデータを改ざんしていた。放置すればトラブルや事故を招いて日本のものづくりは信用を失いかねない。
 相次ぐ不正の原因や背景の分析が進められている。
 組織の課題では、ノーといえず現場が無理な要求にも応えてしまう日本的な企業風土や人間関係が指摘される。経営者は経費削減や納期、生産効率などで無理な要求をしていないか。製造部門や品質管理部門の縦割りによる専門性、機密性の壁もある。
 日本では取引先との契約基準が高く、ある程度の規格外れなら問題はないという現場の独断が積み重なったとの見方もある。
 心配なのは「失われた二十年」といわれる長期停滞の間の歪(ゆが)み、経年劣化だ。コストダウン、リストラによる非正規社員の増加、海外移転、伸びない賃金などが現場の緩みや澱(よど)み、意欲の低下につながり、品質管理への投資も不足してきたのではないか。
 人工知能(AI)が主導する第四次産業革命に乗り出さねばならない時に、自社の存続に関わる深刻な不正が隠されている可能性もある。経営者は不正の根を断つ改革に取り組まなければいけない。  

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。