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【中日新聞】 防衛力の整備 「節度」取り戻してこそ

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 厳しさを増す地域情勢、強まる米国製武器の購入圧力…。しかしそれに応じて野放図に防衛力を強化すれば、地域の軍拡競争を招きかねない。防衛力整備に再び「節度」を取り戻すことが必要だ。
 一カ月前の日米首脳会談を振り返る。会談後の記者会見で、トランプ米大統領は米国製武器の購入を迫り、首相は「日本の防衛力を質的、量的に拡充していかねばならない。米国からさらに購入することになるだろう」と応じた。
 会談に同席したハガティ駐日米大使によると両首脳が特定の武器について議論することはなかったが、首相の会見での発言は、購入拡大に応じる意思を表明したものと受け止められた。
 国民の命と暮らしを守るため、防衛力を適切に整備することは必要だ。そのためにこれまでも多くの米国製武器を購入してきた。
 だからといって防衛政策上、必要性の乏しいものや、敵基地攻撃能力を有するなど専守防衛の枠を超える装備品を購入することがあってはならない。大統領が重視する貿易赤字や雇用などの経済問題と防衛力整備とは別であり、切り離して考えるべきは当然だ。
 自衛隊が保有する防衛力は政府が閣議決定する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」に基づいて整備される。首相は八月、地域情勢の変化に応じ、これらを見直すよう小野寺五典防衛相に指示した。
 来年に決定する新しい防衛大綱と中期防に、米国製武器の新たな購入が盛り込まれるのか否か、厳しく監視しなければなるまい。
 政府は防衛費を国民総生産(GNP)比1%以内とする枠の撤廃後も「節度ある防衛力」整備の方針を堅持してきた。
 しかし安倍内閣は大綱から「節度」の文言を消し、防衛費を二〇一三年度予算から増やし続けている。一八年度概算要求は五兆二千五百五十一億円と過去最大だ。
 国内総生産(GDP)比は諸外国と比べて低い1%程度にとどまるが、このまま増やし続ければ、日本に軍事大国化の意図あり、との誤ったメッセージを周辺国に与えることになりかねない。
 軍拡競争や無用な混乱を招かないためにも「節度ある防衛力」整備の方針に戻るべきだろう。
 そもそも厳しい財政事情だ。高額の米国製武器を次々と購入し、防衛費を増やし続けていいのか、防衛費が社会保障や教育などの予算に比べて適正水準にあるのか、国民的な合意が大前提である。  

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