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【中日新聞】 「雨傘運動」3年 まず世代対立の解消を

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 香港長官選の民主化を求めた学生らが立ち上がった「雨傘運動」終結から三年。自由な香港を取り戻すには、まずは運動の挫折で深刻になった対大陸姿勢をめぐる世代間の対立解消が急務であろう。
 警官隊による催涙弾などの発射に、若者たちが黄色い雨傘で抵抗した雨傘運動は二〇一四年十二月中旬、強制排除で七十九日間に及ぶ香港中枢の占拠を終えた。
 一人一票で長官を選ぶ「真の普通選挙」という訴えは実現しなかった。だが、中国が国際公約である五十年間の「一国二制度」をなし崩しにする強硬姿勢に、若者たちが「香港の高度な自治」を守るため立ち上がった政治的意義は色あせることはない。
 だが、今の香港は依然として「東洋の真珠」とうたわれた観光・貿易の拠点ではあるが、厳しい言論統制で息苦しい社会に変わった。時に勇敢な大陸批判をしてきた香港メディアが牙を抜かれたようにおとなしいのも残念だ。
 中国トップの習近平氏は秋の共産党大会の演説で「香港の全面的な管理権を握り締める」と強調した。香港の繁栄・安定などを述べるより先に、「全面的管理」に言及した演説は異様に映る。
 雨傘運動では、最大二万人近くが香港政府前の路上に座り込んだ。それだけに、習指導部は「国家分裂」につながる動きに神経をとがらせているのは間違いない。
 中国の強権的な香港統治と並んで気がかりなのは、対大陸意識をめぐる香港の世代対立である。
 天安門事件での中国の武力弾圧を知る世代の「民主派」が雨傘運動の理論的支柱となった。だが、香港生まれで自らを「香港人」と認識する若者の一部は、運動の挫折に失望し、中国への民主化要求は無駄とばかりに過激な「香港独立」を唱える。中国本土出身者も多い中高年層の親中派は「独立派」に対する嫌悪感を隠さない。
 中国の強権的な介入と占拠による経済・社会の混乱が、世代間の亀裂を招いた。雨傘運動の負の側面であったことは否定できない。
 しかし、自由に声を上げることのできる民主的な香港の存続は、英国植民地を脱して二十年間の自治を享受してきた香港市民すべてが共有できる価値ではないか。
 中国は香港での愛国教育や国家反逆行為の処罰すら強めようとしている。香港市民が社会の亀裂を修復し、そろって強権政治反対の声を上げなければ、香港の自治は形骸化するばかりである。  

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