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【朝日新聞】 インフル流行 正しい知識で備えよう

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 この冬もインフルエンザが全国的な流行期に入った。
 それに先立ち、未成年者を中心にインフルエンザにかかったときに起きることがある異常行動について、厚生労働省が注意を呼びかける通知を出した。
 国の研究班によると、突然走り出すなど重大な事故につながりかねない行動が、昨シーズンだけで53件確認された。通知には、予防策として玄関やすべての部屋の窓のかぎをかけることなどが盛り込まれている。
 医師や薬剤師が患者・家族に確実に伝えるとともに、とりわけ子どものいる家庭は十分に注意を払ってもらいたい。
 現在、治療薬は主に4種類ある。そのうちのひとつ、タミフルを飲んだ中学生の患者が自宅マンションから転落死するなどの事故が十数年前から相次ぎ、大きな社会問題になった。
 因果関係について結論が出ないまま、厚労省は発症から最低2日間は患者を一人にしないよう通知し、10代の患者にはタミフルの処方を原則として控える措置が、今もとられている。関係者は引き続き、薬が異常行動のリスクを高めることはないのか慎重に検証する必要がある。
 留意すべきは、異常行動は薬の種類や服用の有無にかかわらず、報告されているということだ。インフルエンザの症状として誰にでも起こりうると考え、備えなければならない。
 インフルエンザはいわゆる風邪とは違い、高齢者や子どもを中心に重症化することが少なくない。その認識は広く定着した。学校保健安全法の施行規則は、発症した翌日から5日間、かつ熱が下がってからも2日間を「出席停止期間」と定める。多くの職場でも同じような措置がとられている。
 今年は、重症化や発症の予防に一定の効果があるとされるワクチンが、地域や病院によっては入荷しづらい状況になっている。シーズンに向けてワクチン製造用に選んだウイルスでは十分な生産量が確保できないことがわかり、選び直しをして、生産開始が遅れたからだ。
 希望する高齢者や子どもが優先的に接種できるように、自治体や病院は配慮してほしい。ワクチン不足の状態は、今月中旬以降に解消される見通しだというが、厚労省はこれを教訓に再発防止に努めるべきだ。
 いうまでもなく、重要なのは帰宅時や食事前の手洗いなど、ふだんからの予防策の徹底である。せきやくしゃみが出るときにはマスクをつけるなど、周囲への気配りも大切だ。正しい知識で流行期を乗り越えたい。

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