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【デーリー東北新聞】 温泉の活用 地域資源と捉える発想を

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 厳しい冷え込みが続く北奥羽地方。この季節に恋しくなるのが温泉だ。ゆったりつかると体が芯から温まり、日頃の疲れも消えていくように感じる。そんな私たちに身近な温泉は今、活用の幅を入浴以外にも広げているのをご存じだろうか。
 七戸町の李沢(すももざわ)温泉は「東北すっぽんファーム」としてスッポン養殖に温泉を使っている。源泉掛け流しのぜいたくな湯で育ったスッポンは特有の臭みがなく、コラーゲンが豊富なのに加え、外部機関の検査で栄養価の高さも証明されている。
 経営面で見ても、通常の養殖では必要な加温のコストがかからない上に、成長が早いなど温泉利用のメリットは大きい。
 北奥羽では農業分野でハウスの加温に温泉を使っている例もいくつかある。その中で十和田市の川田農園では加温以外にも、温泉を畑に直接まくことで「温泉野菜」として付加価値を生み出している。
 いずれも地方ならではの「地下の恵み」を存分に生かしたビジネスと言えるのではないか。 環境省のデータによると、青森県の温泉湧出量は毎分13万6404リットルで全国4位、東北ではトップの「温泉大国」だ。岩手県も10万8280リットルで8位にランクしている。世界的に見ても火山と温泉が集中する特異な日本にあって、北奥羽はさらに温泉が豊富な地域なのだ。
 今まで身近過ぎて気付かなかった温泉の可能性。地域特有の資源と捉えれば、ビジネスのアイデアも湧いてくるはずだ。
 全国で先駆的なのは福島市の「土湯(つちゆ)温泉」。2011年3月の東日本大震災で客足が途絶え、存廃の瀬戸際に立った温泉街の関係者が結束し「温泉発電」に活路を見いだした。
 かつて地熱発電は地下から噴き出した200度以上の高温蒸気でタービンを回す必要があったが、6年ほど前に80度前後の温泉でも発電が可能な技術が普及。専門家は「高温の温泉では従来の水を加えて冷やす方法より、熱を発電に使った方が有効活用できる」と指摘する。
 土湯では発電↓エビ養殖↓融雪↓入浴と、多段的な温泉活用のシステムを構築しようとしている。高温で湯量豊富な源泉を余すことなく使い尽くそうという発想だ。全国各地から視察が相次ぎ、温泉街ににぎわいを取り戻す好循環も生んでいる。
 発電や水産養殖、農業、食品製造、暖房、融雪、そして入浴…。温泉利用の可能性は大きく広がっている。活用を探る試みは、地方の強みを改めて認識する機会ともなり得るだろう。
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