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【京都新聞】 受信料判決  公共性問われるNHK

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 受信料を支払わない男性に対しNHKが支払いを求めた訴訟で、最高裁は受信料支払いを定めた放送法は合憲で、支払いは法的義務だという初の判断を示した。
 テレビが家にあれば受信料を支払わなければならない。知る権利に応える公共放送を支えるためである。最高裁はこう判断した。
 NHKの受信料徴収業務に法的根拠が与えられた形だ。とはいえ、訴訟の多用や強制的な徴収は許されない。NHKには、公共放送としての権力からの独立性や多様性がこれまで以上に求められる。
 放送法は「受信設備を設置したらNHKと契約しなければならない」旨を定めており、NHKはこれを根拠に男性を提訴。男性は「義務ではなく努力規定」として争っていた。
 一、二審ともNHKの主張をほぼ認めており、最高裁はこれを踏襲した。
 一方で、ワンセグ付き携帯電話の扱いなどをめぐる訴訟で争われている「設置」の定義については言及しなかった。
 支払い義務を定めた50年前には想定していなかった受信形態が普及している問題を避けた感は否めない。将来的に統一判断が必要になろう。
 判決がNHKと政府・与党の関係に与える影響には注意が必要だ。
 NHKは経営や予算などを政府・与党に認めてもらう必要があり以前から政治との近さが指摘されてきた。
 今回の裁判で国(総務省)は「NHKは災害、有事に的確な情報を提供するインフラ」「国民は受益者で負担は合理的」という意見書を最高裁に出した。NHKは行政情報を伝える道具、という国の本音が透けて見える。
 今回の判決を機に、支払い義務を明記する放送法改正の動きが起きるという指摘もある。
 法に書き込めば料金徴収はより簡単になる。だが国への依存度が高まる代わりに公共性は薄まろう。同様の法案が過去2回、国会に提出され廃案になっていることを重くみたい。
 NHKは公共放送にしかできない事実の発掘や問題提起をしてほしい。視聴者は進んで支えるはずだ。
 子会社の収益は良質な番組制作で還元すべきだ。民業圧迫になるネット進出や民放と見まがうような番組は再考すべきではないか。放送局の独立性を高める制度改正も議論が必要だろう。

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