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【西日本新聞】 羽生永世7冠 前人未到の偉業たたえる

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 長い歴史を誇る将棋界に、巨大な金字塔が打ち立てられた。
 羽生善治さんが永世竜王の資格を得て、永世称号制度のある7タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)の全てを手にする「永世7冠」を達成した。
 多くのプロ棋士にとって、一つのタイトル獲得さえ大きな目標だ。7タイトルごとに通算10期や連続5期などの厳しい条件がある永世の名称を全て獲得するとは、驚異の一言に尽きる。
 第一人者にかかる精神的重圧は並大抵のものではあるまい。前人未到の偉業を心からたたえたい。
 赤い野球帽をかぶった早熟の少年が、アマ将棋の世界で注目を集めたのは1980年ごろだ。15歳で史上3人目の中学生プロ棋士になった。すぐに頭角を現し、19歳で初タイトルを獲得した。
 96年には史上初の7冠独占を成し遂げ、棋界を超えた社会ブームを巻き起こした。将棋ファンの裾野を広げた功績も大きい。
 王位戦(西日本新聞社主催)では、幾多の名勝負を九州の将棋ファンに見せてくれた。王位在位は最多の通算18期に及ぶ。
 故大山康晴15世名人や中原誠16世名人などを超える「平成の名棋士」として歴史にその名が刻まれることは間違いない。自身が持つ通算タイトル獲得数の記録は99期に伸び、大台に王手をかけた。こちらも偉業達成は目前だ。
 人工知能(AI)とプロ棋士はどちらが強いのか-。関心を集めた勝負は今年、AI勝利でほぼ決着した感がある。とはいえ、将棋の魅力が知力と集中力の限りを尽くした人間ドラマにあることを羽生さんは改めて教えてくれた。
 AIを修練に取り入れた若手の台頭が著しい。中学生の藤井聡太四段もその一人だ。いわばAIと棋士の共存で、戦術が日々深化する時代の到来である。羽生さんも「新しい挑戦をしていきたい」と意欲を燃やす。
 希代の天才は「永世7冠」の称号を得て、これからどんな将棋を私たちに見せてくれるのか。さらなる飛躍を期待したい。

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