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【北國新聞】 金沢城の石垣回廊 民有地取得で完成は適切

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 金沢城の外周部を巡る「石垣回廊」が完成する見通しになった。石川県が金沢城公園区域にある民間ビルの跡地を取得することによって、石川門から金沢商工会議所の向かい側にある丸の内園地の隣接地までの間に石垣が連なる景観が整う。
 県が取得するビル跡地は公園区域に唯一残っていた民有地である。完成から55年を経たビルは今年5月に解体工事が始まった。その時点では、所有者側は跡地の扱いを未定としていたが、解体後に県が土地を買い取ることになった。県は緑地として整備し、通りから石垣が見えるようにする。
 金沢城の外周にある大事な一画が望ましくない形で使われることなく、石垣回廊の形成に活用されるのは歓迎できる。建物の解体完了から間を空けずに石垣の景観を整えるため、県が今年度の12月補正予算案に取得費を計上したのは適切な判断だろう。
 石垣を背にした民有地の取得に必要性があるのは、石垣が金沢城の特色であり、史跡としての価値を高めているからである。金沢城では加賀藩祖の前田利家の時代から幕末期まで修繕が繰り返されており、時代によって変化した工法で積み上げられた石垣は多様な形態を残している。
 城の外周に石垣回廊を整えると、「石垣の博物館」と評される金沢城の個性が城の外からも、はっきりと分かる。都心の景観に風格が増す効果も大きく、民有地の取得で回廊が完成する意味は大きい。
 金沢城の石垣の重要性は金沢経済同友会が20年ほど前から指摘してきた。市民、県民がふるさとに誇りを持つことができるように、外周部でも石垣の景観を整えるよう県に重ねて求めた経緯がある。
 これを受けて県は県営丸の内駐車場を廃止して石垣が通りから見えるように整備した。県体育館の跡地周辺では玉泉院丸(ぎょくせんいんまる)庭園を整備し、その隣では今後、鼠多門(ねずみたもん)と鼠多門橋の復元を進める。
 県都の中心で重厚な石垣が連なる姿は、金沢城を史実に沿って復元してきたことが的確な対応であったことを物語る。石垣回廊の完成と鼠多門の整備で都市の格がさらに高まることを期待したい。

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