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【北國新聞】 エルサレム首都認定 パレスチナ和平が危機に

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 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことで、パレスチナ和平が危機にさらされている。イスラエルが歓迎の意を示す一方、パレスチナ側は「宣戦布告に等しい」と反発しており、パレスチナ和平交渉の再開はますます困難になるだろう。この先、大規模な武力衝突に発展する恐れもある。
 国際社会はこれまで、エルサレムの帰属はイスラエルとパレスチナの2国間交渉によって解決されるべき問題としてきた。2国が平和的に共存し、時間をかけて融和を図っていく以外に解決の道はないとの共通認識があるからだ。
 エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通の聖地である。トランプ大統領の決定は中東諸国はもとより、全世界のイスラム教徒の反発を招き、反米感情を悪化させるだろう。
 イスラエルとパレスチナの対立で、橋渡し役を担ってきた米国は事実上、仲介者の立場を失うことになる。米国をはじめ、西側諸国がイスラム過激派に対抗する上で、協力関係を築いてきたサウジアラビアなど穏健派の国々との関係にも亀裂が生じかねない。
 トルコのエルドアン大統領は「エルサレムはレッドライン(越えてはならない一線)だ」としてイスラエルとの断交を示唆している。中国とロシアは、中東情勢を悪化させるとしてトランプ大統領の決定に懸念を表明した。
 米国がイスラエル寄りの姿勢を鮮明にすればするほど、中国とロシアの存在感が高まり、中東の政治状況を一層複雑化させる。米国の退潮を加速させ、きな臭さを増すのは避けられない。
 心配なのは、イスラム過激派にテロの口実を与えたことだ。聖地奪還を叫ぶテロが起きる可能性があり、東京五輪を控えた日本にとっても大きな不安材料となろう。
 国連安全保障理事会の緊急会合では、エルサレムの首都認定に異を唱える国が続出するだろう。米国が拒否権を行使するような事態になれば、北朝鮮制裁で国際社会の結束を呼び掛ける日米の主張にも水を差す。米国は自らやっかいな問題を抱え込んでしまった。

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