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【産経新聞】 所得税改革 公平性への配慮が必要だ

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 来年度の税制改正で最大の焦点だった所得税改革の内容が固まった。社会の変化に合わせた改革は常に必要で、今後とも負担の公平性への目配りが欠かせない。
 今回の改革で、高所得の会社員は増税となるが、フリーランスや自営業者など基礎控除だけの人には減税になる。
 働き方が多様化する中で、勤務形態などで控除に差が出るのを見直すものである。厳しい財政事情を背景に高所得者に一定の負担を求めるのはやむを得まい。
 ただし、「取りやすいところから取る」安易な姿勢が目立つようでは、改革に対する国民の幅広い理解は得られまい。
 改革の柱は、会社員の「経費」として課税対象から差し引かれる給与所得控除について、高所得者は減らす一方、全ての人が対象となる基礎控除は増やす点だ。
 自民、公明両党の税制調査会は、増税となる会社員の年収について、800万円超とすることで合意した。給与所得控除を一律削減したうえで、控除上限も引き下げる。22歳以下の子がいる人などは増税の対象から外す。
 給与所得控除が導入されてから半世紀近くが経過した。会社に勤めず、インターネットなどを通じて仕事を請け負う人も増えたが、これらの人は給与所得控除を受けてこなかった。
 所得税改革は全体を俯瞰(ふかん)した見直しが欠かせない。現行では収入からさまざまな控除を差し引いた上で、所得税率をかける所得控除方式が中心だ。今回の改正は控除の一部手直しにすぎない。
 海外では、収入に左右されずに一定額を差し引く税額控除方式を採用する国が多い。透明性が高く、若い世帯の支援にもつながるやり方だ。大がかりな改革となるが、検討を避けてはなるまい。
 税制改正では、年金以外の収入が年1千万円を超える高齢者の公的年金等控除も縮小する。所得再分配機能を強めて格差の縮小を目指す。減税効果が大きい給与所得控除と年金等控除が二重に適用される人について、控除を減らすのは妥当といえよう。
 与党は控除見直しで1千億円超の税収増を見込む。公平性を無視して高所得者だけを狙い撃ちにすれば、消費に影響を与える。
 自営業者の所得捕捉の徹底を含め、国民全体で負担しあう不断の改革に取り組むべきである。

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