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【読売新聞】 自治体基金増額 地方の将来見据えて改革せよ

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 人口減少が加速する中で、地方財政の持続可能性をどう高めるか。将来を見据えた、多角的な論議が欠かせない。
 自治体が保有する基金の総額が2016年度末で過去最高の21・5兆円となった。この10年で8兆円近く増加した。将来の財源不足に向けた財政調整基金や、公共施設整備、災害に備える特定目的基金などだ。
 経済財政諮問会議では、民間議員から「財源が使い切れないのではないか」「新たな埋蔵金だ」といった疑問の声が出た。
 財務省は18年度予算編成で、自治体の税収不足を補う地方交付税の削減を総務省に求めている。
 地方交付税の総額は15・6兆円で、17年度予算の16%を占める。国と地方の長期債務の合計は1000兆円を超す。自治体財政に余裕があるならば、基金や交付税のあり方を見直すのは当然だ。
 08年のリーマン・ショック後、交付税に特別枠が創設され、17年度も2000億円を計上している。地方税収が回復した以上、廃止・減額を検討すべきだろう。
 高知県の尾崎正直知事は3日、視察に訪れた野田総務相に対し、県内市町村の基金増加について4分の3は職員や給与の削減で捻出した、と強調した。「余力がないと、いざという時に臨機応援に対応できない」とも訴えた。
 基金増を理由に交付税を減らせば、将来向けに歳出を抑制する自治体の意欲はそがれてしまう。
 少子高齢化が進む中、多くの自治体は、社会保障費の増大や、公共施設の老朽化対策、大規模災害への対応などに迫られている。こうした課題に備えるため、基金を活用する事情は理解できる。
 首長は、基金の使途や将来計画を明確に住民や議会に説明し、透明性を高める必要がある。
 是正すべきは、地方税収が東京都などに集中していることだ。
 都と23区の基金は計4・3兆円で、10年で2・5兆円も増えた。全国の増加分の3割を占める。都は交付税の不交付団体で、今の交付税制度での調整は難しい。
 政府は近年、法人事業・法人住民税制度の一部を見直し、税収の均衡化を図ってきた。さらなる格差是正策に知恵を絞りたい。
 大都市を中心に、子供の医療費無料化の対象拡大など、過剰とも言える自治体間のサービス競争が広がっているのは気がかりだ。
 地方の財源確保を主張する一方で、放漫財政に走るのは許されない。歳出健全化に対する自治体自身の不断の努力が求められる。

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