Home > 社説 > 地方紙 > 九州・沖縄地方 > 宮崎日日新聞(宮崎県) > 【宮崎日日新聞】 官邸主導の政策決定
E280-MIYAZAKI

【宮崎日日新聞】 官邸主導の政策決定

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

◆国会審議が不十分な事態だ◆
 首相官邸が打ち出す政策を与党がチェックせず、国会も事実上の追認機関になりかねない状況に陥りつつある。与党内の議論を経ないトップダウンの政策決定が目立つ一方、国会審議について自民党が自分たちの質問時間を増やし、野党持ち分の削減を図っているからだ。与党内でも、国会でも精査が十分働かず、不備を抱えた政策が展開されれば不利益を被るのは国民だ。野放図な官邸主導は許してはならない。 与党から反発の声も
 背景には安倍晋三首相が政権復帰した2012年の衆院選以来の国政選挙で、5連続の大勝を収めたことがある。官邸トップダウンの政策決定で象徴的なのは、看板政策「人づくり革命」の財源確保。安倍首相は10月末開かれた有識者会議で、経団連の榊原定征会長に対して3千億円の拠出を直接要請した。拠出金は待機児童解消に向けた保育所整備に充てられる方向で、企業が既に負担している「事業主拠出金」を拡充する形。榊原氏は協力の意向を示したが、与党内では議論されていなかった。
 そもそも自民党は、企業に加え従業員も負担する仕組みとして検討した「こども保険」創設を提言。首相官邸側は、賃上げが不十分な中で家計に負担を求めるのは難しいと判断したとみられるが、企業のみの拠出で代替することに自民党の了承は得ていなかった。小泉進次郎筆頭副幹事長が「全く党で議論していない」と強く反発、岸田文雄政調会長が党内議論を尊重するよう官邸に求めることで沈静化を図ったが、「官高党低」構図に変わりはない。 野党の質問にも影響
 その証左が、外国人旅行者や日本人が出国する際に徴収する「観光促進税」の検討過程だ。新税構想は今年夏ごろから取り沙汰され始め、観光庁の有識者会議はわずか2カ月の議論で概要が固まった。党税調は追認する形になっている。これまで税に関する重要事項は「インナー」と呼ばれる党税調幹部が主導し取りまとめてきた。今回はその逆の流れなのだ。
 首相官邸が、安倍首相の意向を尊重する宮沢洋一氏を税調会長に充てたことが大きい。トップ人事による首相官邸主導の強化は、金融緩和論者であるアジア開発銀行総裁の黒田東彦氏を日銀総裁に充てた件に始まり、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈見直しに前向きだった駐フランス大使の小松一郎氏の内閣法制局長官起用など枚挙にいとまがない。
 首相官邸に対して影響力を失いつつある自民党に、議論活性化を求めて駆け引きを繰り広げる気配はない。出てきたのが国会での与党質問の時間増要求である。政策や法案内容を修正できる与党内議論の縮小は黙認し、党議拘束によって字句の修正さえ難しい国会審議を求めるというのは理解に苦しむ。仮に野党の質問時間削減が目的だとしたら、自ら国会の役割を放棄する愚挙である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。