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【山陽新聞】 ロシア選手団除外 “脱薬物”で健全な五輪に

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 国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシアが国家主導によるドーピングの組織的不正を行ったと認め、来年2月の平昌冬季五輪への同国選手団派遣を禁じた。ただし、厳格な条件を満たして潔白が証明されたロシア選手については、個人資格で参加できる道を残した。
 この問題は2014年末、ドイツのテレビ番組でロシアの陸上選手による告発が放送されたのが発端だった。調査に当たった世界反ドーピング機関(WADA)は昨年末に公表した最終報告書で、11年から15年にかけて夏季、冬季五輪、パラリンピックを合わせ、千人を超えるロシア選手が組織的な隠蔽(いんぺい)に関与または恩恵を受けていたと結論づけた。競技種目は30超に及ぶ。
 大がかりだったのが、同国で14年に開催されたソチ冬季五輪である。陽性反応が出る可能性があるロシア選手の検体を、検査室の小さな壁の穴を通してクリーンな検体とすり替えた。アルコールと調合し、違反が発覚しにくい方法で禁止薬物を摂取させることも行われたという。
 国家の威信をかけた、すさまじい勝利至上主義と手口の巧妙さにはあきれてしまう。ロシア選手団の五輪除外は、規模や悪質さからしても当然のことだろう。
 このほかの主な処分では、ロシア・オリンピック委員会(ROC)を資格停止とし、ソチ五輪当時のスポーツ相だったムトコ副首相を五輪から永久追放する。
 バッハIOC会長の強い姿勢の背景には、昨年のリオデジャネイロ夏季五輪の教訓がある。WADAからロシア選手団の全面出場禁止の検討を求められたIOCは、全面除外は見送って出場の可否を各国際競技連盟に委ねた。結果として約280人のロシア代表選手が出場し、「弱腰」との批判を受けた。今回は、独自の調査で国ぐるみの不正を裏付ける確証を得たことなどが決断させたとみられる。
 一方、クリーンな選手にはドーピングの違反歴がないことや、大会前の検査を受けることなどを条件に個人資格での参加を容認した。国旗や国歌の使用は認めない。
 ドーピングは競技の公正さを損なわせ、使用する選手自身の健康もむしばむ。ましてや国が主導するなど言語道断だ。ドーピングに厳しく臨むとともに、クリーンな選手の出場機会を守ってこそ“脱ドーピング”を根づかせるのではないだろうか。
 プーチン大統領は個人資格での参加を容認し、平昌五輪をボイコットしない意向を示したというが、今後、決定に不満な国内世論の動向が気になる。ロシアは過去を反省してうみを出し切り、禁止薬物との決別を世界に示さなければならない。
 ドーピングはロシアだけの問題ではない。今回の事態をスポーツ界、特に五輪が備えておくべき高潔性を取り戻す出発点とするよう求めたい。

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