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【福島民報】 【国の森林環境税】県民は納得するのか

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 県民は果たして納得するのだろうか。政府・与党が導入する方針を固めた新税「森林環境税」のことだ。すでに本県は2006(平成18)年度から、森林保全や森林保護意識の向上を目的に森林環境税を県民に課している。「二重課税」との批判が出ることは想像に難くない。自然環境の保全というイメージに乗せて、納税者を納得させようとしているのではないか。
 新税「森林環境税」は2024年度に創設する方針で、1人当たり年間1000円を個人住民税に上乗せして徴収する方向だ。全国的に森林の荒廃が進む中、市町村が所有者の代わりに植林や間伐などを行うのに必要な財源の確保を目的としている。約600億円とされる税収は森林面積などに応じて自治体に割り当てる。市町村だけでなく、都道府県にも一定割合を配分する。近年、続発している豪雨災害を考えれば、森林整備が急務であることは分かる。
 一方、県の森林環境税は県森林審議会の答申を踏まえ、5年ごとに課税期間を延長し、2016年度からは第3期に入っている。個人は年間1000円、法人は資本金の額に応じて年間2000円から8万円を納めている。2016年度の税収は約11億円だった。
 同様の税金は本県など37府県と横浜市で導入しており、政府の動きに「二重取りと捉えられかねない」(関東圏の知事)との声が上がっている。県の担当者は「全国知事会を通じ、各自治体の独自課税に影響が生じない制度設計を国に要望している」と話す。しかし負担増となる納税者の理解を得るのは容易ではない。なぜ政府案は1000円も必要なのか。どこかに無理がある新税ではなかろうか。
 本県の県土は森林が7割を占める。97万5000ヘクタールのうち民有林が58%で、このうち所有者が県内にいない民有林は8%。所有者不明の森林もあるという。人の手で管理し、しっかりと根を張った人工林を維持することで保水力を高めてこそ、国土を守ることにつながる。
 林野庁は森林の管理を市町村が引き受け、林業経営者に貸し出す「森林バンク」を計画している。この財源も新税で賄うという。特定の目的で設けられた税金は使い切ろうとする発想が生まれやすい。無駄遣いを防ぐ十分な監視の目が注がれるべきだ。
 新税は14日にもまとまる与党税制改正大綱に盛り込まれる。自治体独自の税金とどうすみ分けるのか。「屋上屋を架す」との疑念を払拭[ふっしょく]する緻密な制度設計が政府には求められる。(浦山文夫)

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