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【岩手日報】 党首討論通年ゼロ 国会活性化はどうした

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 今国会は9日が会期末。政権与党党首の首相と野党党首が内政や外交の基本政策を議論する党首討論が、今年は1度も行われなかった。「年間ゼロ」は、2000年の制度創設以来初めてだ。
 党首討論は、国会審議活性化のため英国議会の「クエスチョンタイム」をモデルに導入された。初年こそ8回開かれたが、以後は年々減少。与野党は14年に月1回の開催で合意したが順守されず、昨年は2回にとどまった。
 先の通常国会では、国有地が格安で売買された森友学園の問題を巡り、当初は野党が党首討論を呼び掛けて与党が拒否。終盤は一転、与党側の開催要求を野党が蹴った経緯がある。政局絡みで実施の可否が判断される現状には、党首討論の意義付けが希薄になっている印象が否めない。
 党首討論の開催時間は45分間。これを、一定数の議員を擁する政党で分け合うが、野党勢力の分散で、第1党でも持ち時間は数十分程度。それよりも、長時間にわたり首相を追及できる予算委の方がいい−と野党側は考える。
 与党側は、討論開催に応じた分、委員会への首相出席を絞ろうとする。いずれ国会活性化より党利党略だ。
 意義を欠くなら、廃止を含めた見直しも必要だ。だが今年の国会を振り返れば、党首討論導入の眼目である国会活性化そのものが大きく後退している節がうかがわれる。
 党首討論導入の後ろ盾である国会審議活性化法では、同時に旧憲法の時代から引き継がれてきた政府委員制度が廃止された。閣僚に代わり官僚の国会答弁を認める制度で、かねて官僚主導政治の温床との批判があった。
 委員会の全会一致を前提に官僚を政府参考人として呼ぶ道は残されたものの、発言は行政の細目や技術的事項の説明に限るとされてきた。
 共謀罪の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正が議論された先の通常国会の法務委員会で、与党は全会一致の慣例を破り、反対会派がある中で数の力で刑事局長を招請。刑事局長は度々、所管の大臣を差し置いて手を挙げ、実質的な答弁の大半を担った。
 国会で、特定の職員に内閣の答弁を担わせる構図は旧態依然。それを許した国会の対応は、副大臣や大臣政務官を創設して議員主導の国会運営を志向する活性化法の趣旨と相いれないばかりか、行政の中立性もないがしろにする。
 党首討論の通年ゼロは、ここに至る経緯こそ問題にしなければならない。通年ゼロは課題の一端。政権は6月に通常国会を閉じて以降、憲法にのっとり野党が求めた臨時国会召集を拒み続けた。「言論の府」の衰退が、ジワジワと進んでいるのではないか。
 

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