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【西日本新聞】 NHK受信料 問われる公共放送の使命

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 テレビを設置したら支払い義務が生じるNHKの受信料制度は、合憲である。そんな判断を最高裁大法廷が初めて下した。
 広告収入に支えられる民放と異なるNHKに、国家権力や特定の個人・団体から不当な影響が及ばないようにし、国民の知る権利や表現の自由を守るためには、テレビ設置者が公平に負担する受信料は不可欠との判断だ。
 報道機関の権力などからの独立という視点でみれば正論であり、妥当な考え方と言えるだろう。
 ただし、翻ってNHKの現状をみればどうか。多様な国民が広く費用を負担するにふさわしい番組を提供しているか-。公共放送の在り方も問い直す必要がある。
 裁判は「放送内容が偏っている」などとして受信契約を拒否する東京都の男性に対して、NHKが受信料の支払いを求め提訴した。
 男性側は「受信設備(テレビ)を設置した者はNHKと受信契約を結ばなければならない」と定める放送法64条について「法的拘束力のない努力規定」として、支払いの強制は契約の自由を侵害し違憲だと訴えていた。
 判決で最高裁は、受信料制度とともに、裁判に訴えて受信料の支払いを求めるNHKの姿勢にも“お墨付き”を与えた。
 契約拒否は900万件、契約した上での不払いは100万件に上る。職員の不祥事が続いた2004年以降、急増しているという。
 視聴者の不信はそれにとどまらない。戦争や選挙を扱う番組の制作を巡り、政治の介入や局幹部の忖度(そんたく)がしばしば指摘される。籾井勝人前会長の「政府が『右』と言うものを『左』と言うわけにはいかない」との発言は象徴的だ。
 秀逸なドキュメンタリーなど「さすがNHK」と感心させられる一方、民放の娯楽番組と区別のつかないような放送も散見される。
 NHKの16年度事業収入のうち受信料は6769億円で全体の約96%を占める。受信料で支える視聴者に正面から向き合う良質な番組づくりこそ、公共放送としてのNHKに求められる使命だろう。

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