Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 二つの新税  拙速過ぎ、疑問も多い
E200-KYOTO

【京都新聞】 二つの新税  拙速過ぎ、疑問も多い

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 丁寧な検討も国民に開かれた議論も十分でなく、拙速過ぎる。
 政府・与党の2018年度税制改正で、「国際観光旅客税(出国税)」と「森林環境税」の創設が固まった。あす決定する税制改正大綱に盛り込まれる見通しだ。
 国際観光旅客税は、訪日外国人客誘致の施策に充てる新たな財源として日本の空港や港からの出国時に1人千円を徴収する。外国人だけでなく日本人も対象とし、東京五輪・パラリンピック開催前の19年1月から導入するという。
 観光庁の有識者会議がわずか2カ月の議論で出国税構想をまとめ、政府・与党も追認した形だ。昨年1年間の訪日客と日本人の出国者は計約4千万人で、新税により観光庁予算の倍近い約400億円を確保できる。ところが、観光施策の進め方や税の具体的な使途の検討は十分とは言えない。
 出入国管理の保安強化や海外での観光PRなどに使うというが、国民にとって直接のメリットは少ない。果たして理解は得られるのだろうか。徴税は訪日客を減らす方向に作用する恐れもある。
 観光施策は観光庁に限らず多くの省庁にまたがる。まずは分散した既存の観光関連予算約700億円を精査し、組み替えることで財源をひねり出す工夫が要る。
 森林の間伐費用などを賄う森林環境税も課題が残る。24年度から個人住民税に年千円を上乗せし、約600億円の税収を森林面積などに応じて自治体に配分する。
 地球温暖化防止や森林保全の充実に異論はない。だが京都の「豊かな森を育てる府民税」や、滋賀の「琵琶湖森林づくり県民税」など多くの府県が森林や水源の保全を目指す地方税を導入済みだ。二重課税となれば看過できない。
 加えて両税とも目的を特定した財源であり、年度内に使い切ろうとすれば無駄遣いを招く。新財源が効果の薄い施策や公共事業に回されることは許されない。
 両税は先の衆院選でほとんど言及されなかった。首相官邸肝いりの新税とあって、自民党の大勝を背景に十分議論することもなく負担増を持ち出したとみられる。19年には参院選や統一地方選が予定され、今なら増税を実施しやすい、税は取りやすいところから取ればいい、と安直に考えていまいか。
 新税が実現すれば、国税として恒久的な税目新設は土地バブル対策で導入された1992年の地価税以来となる。新税の創設は国民に与える影響が大きい。慎重で丁寧な国会論議が欠かせない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。