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【京都新聞】 診療報酬改定  本質的議論が足りない

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 「人生100年時代」を政府は強調するが、医療・介護の制度の持続性をどう高めていくのか、道筋は見えないままだ。
 来年度予算編成の焦点の一つ、診療報酬の改定について、政府・与党が医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」を0・55%引き上げる方針を固めた。併せて薬価を引き下げ、全体では1%弱のマイナス改定となる。
 報酬増は利用者の負担増につながる。当初、財務省は本体部分も引き下げを目指したが、自民党の有力支持団体の日本医師会に配慮する形で方針を転じた。市場実勢に基づく薬価の大幅引き下げで財源捻出のめどがたったことで、かえって制度改革の本質的な議論が深まらなかった。極めて残念である。
 今回は6年に1度の医療と介護の同時報酬改定の機会にあたる。団塊の世代が75歳以上になる2025年へ、残りの期間を考えれば超高齢社会に適応したサービス体制の整備を先延ばしにはできないはずだ。
 年金を含む社会保障費は、高齢化で自然に増えていく。政府はこの「自然増」を16~18年度は年5千億円にとどめる目安を定めている。18年度は本来の伸びを1300億円ほど圧縮する必要があるが、事前に決まっていたのは大企業の社員の介護保険料アップなどによる400億円分だけだ。
 こうした単年度ごとの予算の切り詰めは、もう限界にきている。
 安易な穴埋め策に頼ったり、社会的に声の小さい人々にしわ寄せしたりせず、あるべき社会保障の姿をオープンに議論する。現役世代も高齢者も納得できる負担と給付の均衡点を見いだす。それが喫緊の課題ではないか。
 人口減もあって、医療に対する社会のニーズは変化している。
 手術や救急を担う急性期型から、リハビリなどの回復期型病床への機能転換もその一つだ。認知症や生活習慣病の人が仕方なく入院に頼ることのないよう、在宅介護との連携強化にも一層の後押しがいる。
 地方や過疎地の医療体制に、報酬改定が及ぼす影響にも目配りが必要だ。
 「全世代型の社会保障」を掲げる安倍政権は、消費増税の増収分を教育だけでなく介護人材にも充てる方針だ。介護職の待遇改善は重要だが、先送りした財政健全化目標については新たな達成年限を示していない。財政運営全体の見通しを国民に明示することが、幅広い議論の喚起には欠かせない。

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