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【秋田魁新報】 伊方原発差し止め 極めて重い高裁判断だ

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 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、広島市の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁は13日、運転を差し止める決定をした。原発再稼働や運転を禁じる司法判断は、これまで地裁ではあったが、高裁では初めてであり、影響は大きい。
 伊方3号機は昨年8月に再稼働し、現在は定期検査中で停止している。四国電力は来年1月に送電を再開し、2月には営業運転に入る見通しだったが、事実上不可能になった。
 高裁が運転差し止めの理由として示したのは、火山噴火による危険性だ。過去の例を挙げながら、阿蘇山(熊本県)から約130キロの距離にある伊方原発について「火砕流が到達する可能性が小さいとは評価できず、立地には適さない」と判断。新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だとし、「住民らの生命、身体に対する具体的な危険の恐れが推定される」と結論付けた。
 原発運転に関し火山の影響を指摘した意義は大きい。噴火が起きた場合、被害は広範囲に及ぶ可能性が高い。桜島がある鹿児島県・川内原発は大丈夫かという議論にもつながりそうだ。原発再稼働を進める政府や各電力会社は今回の決定を重く受け止めなければならない。
 住民側弁護団は「思いが通じ、瀬戸内海が守られた」と話した。一方、四国電力は「到底承服できない」と述べ、高裁に異議申し立ての手続きを取る方針だ。原子力規制委は「新基準は不変ではなく最新の知見を取り入れ改善していく」としたものの、高裁決定による今後の判断への影響は否定した。
 決定では特段触れていないが、今回住民側が、原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)の算出に当たって、原発近くを通る国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」や、南海トラフ巨大地震の影響が過小評価されていると主張したことにも目を向けたい。特に中央構造線断層帯は昨年の熊本地震を機に活発化することも懸念されており、警戒が必要だ。
 伊方原発は細長い半島に位置しており、事故発生時には住民が孤立する恐れもあるなど避難上の課題も指摘されている。安全が確保されているとは言い難く、今回の決定を機に見直しを図るべきだろう。
 福島第1原発事故後、原発に不安を訴える住民が運転差し止めを求める訴訟は各地で相次いでいる。伊方3号機に対する同様の仮処分は、松山地裁の却下決定を受けた高松高裁での即時抗告審のほか、大分地裁と山口地裁岩国支部で争われており、今後の決定が注目される。
 広島高裁の決定は、火山国で地震の多い日本で原発が絶対安全だと保証することの難しさを浮き彫りにした。安倍政権は原発を重要な基幹電源と位置付けているが、安全面を考え脱原発依存にかじを切る必要がある。

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