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【中日新聞】 沖縄基地番組 事実は曲げられない

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 「重大な放送倫理違反だ」。沖縄の米軍基地反対運動を取り上げた東京MXテレビの番組に「放送倫理・番組向上機構」(BPO)は厳しい意見を出した。放送の矜恃(きょうじ)と責任が問われている。
 問題となったのは、今年一月二日に放送された情報バラエティー番組「ニュース女子」だ。「沖縄緊急調査
 マスコミが報道しない真実」と題し、沖縄県北部で進められている東村高江地区のヘリパッドの建設に反対する人々について報じ、コメンテーターたちが批判的な論評をする番組を放送した。
 この前提となる報道内容は、反対運動で救急車が止められた、日当をもらって運動している人がいる、などの根拠が不確かな情報が入っていた。MX側は当初、「可能性があるという表現にとどめ断定はしていない。問題はない」としてきた。だが、視聴者は反対派が救急車を止め、日当をもらっていると受け止めた人も多数いたはずである。
 BPOの検証委員会が調べたところ、救急車が止められた事実はなく、そもそも番組制作会社から消防本部などへの取材はなかった。日当問題もそうだ。ある時期、反対派は「市民特派員」を企画し、高江の状況を本土の人々に情報発信してもらう趣旨で、十六人を採用した。格安航空券と四日間の滞在費で五万円を支払った。
 実際に報告記事も人権団体のホームページなどで掲載されているという。これは日当とは呼ばない。裏付けもなく、日当があるかのように報道することは、明らかに不適切であろう。
 「逮捕されても生活に影響の少ない六十五歳以上を過激デモに従事させている」−。これを「シルバー部隊」と呼ぶとも。また「反対派には韓国人もいる、中国人もいる」とも。「反対派の人は週休二日」とも。つまり、偏見に満ちている。これは不快な表現を禁じた民放連放送基準に反しよう。
 この番組は制作会社が納品した「持ち込み番組」である。しかし、電波を使用しているのが放送局である以上、放送法に基づき、放送内容が放送倫理に反せぬよう最大限努めねばならない。これを「考査」という。放送時はこの歯止めが利かなかった。
 MXテレビは編成局に考査部を新設した。BPOは考査を「放送の自主・自律を守る砦(とりで)」という。権力の規制を受けず表現の自由を確保するためだ。考査が適切に機能してこそ放送の自由が生きる。  

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