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【読売新聞】 FRB利上げ 物価の行方をどう判断するか

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 景気の過熱を心配するほど雇用や株価が好調なのに、物価の伸び率は目標に届いていない。
 金融引き締めを強めるのか、慎重になるのか。米当局のかじ取りは、来年の世界経済の行方をも左右しよう。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が半年ぶりの利上げを決めた。2015年までの事実上のゼロ金利から転じて、政策金利は1・25~1・5%まで上昇する。
 15、16年の利上げは1回ずつだったが、17年は3回に加速した。FRBは、来年も3回のペースの維持を想定している。
 大規模緩和からの金融正常化を着々と進めているのは、堅調な米経済への自信の表れと言える。
 11月の米失業率は4・1%と、17年ぶりの低水準にある。株価は最高値を度々更新している。FRBは今回、18年10~12月期の成長率予想を2・5%とし、9月時点の2・1%から引き上げた。
 一連の利上げがバブルの芽を摘み、米経済の安定成長に貢献するのであれば歓迎できる。
 9年目となった米景気の拡大は、早々に調整局面を迎えても不思議ではない。FRBが利上げを進め、不況期に下げる余地を確保しておくことも理にかなう。
 悩ましいのは、物価上昇率の低さだ。2%の目標に対して1%台半ばにとどまる。利上げによる金融引き締めが行き過ぎれば、デフレ懸念が再燃しかねない。
 イエレンFRB議長は米国の物価停滞について、携帯電話サービスの料金低下など「一時的な要因」を強調する。ただ、雇用の改善が賃金や物価の上昇に直結しないのは、日欧にもみられる現象だ。
 労働市場のグローバル化や、人工知能(AI)など情報技術の進展といった、大きな構造変化が要因だという指摘がある。
 米国の物価見通しは、従来以上に慎重な検討が求められる。
 FRBは、量的緩和で膨張した米国債などの保有資産の縮小も10月に開始した。利上げとともに、金融引き締めの方向に働く。
 世界にあふれた緩和マネーが米国への還流を強めるとみられる。資金引き揚げが新興国などに深刻な影響を及ぼさぬよう、FRBは細心の注意を払う必要がある。
 日銀は、米欧と同じ物価上昇2%を目標に掲げる。現状が下回っているのは日米欧に共通する。目標に未達でも、米国は利上げを進め、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和の縮小を決定した。
 その柔軟さは、大規模緩和を堅持する日銀にも参考となろう。

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