Home > 社説 > 全国紙 > 朝日新聞 > 【朝日新聞】 老朽インフラ 「連携」で対策を急げ
E015-ASAHI

【朝日新聞】 老朽インフラ 「連携」で対策を急げ

そう思わないそう思う (+1 点, 1 投票)
Loading...

 9人の命が失われ、社会に衝撃を与えた中央自動車道・笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故から5年が過ぎた。
 管理する高速道路会社の当時の社長らが書類送検され、捜査が続くが、インフラの老朽化が招く悲劇を繰り返さないよう対策を急がねばならない。
 小さな市町村を中心に、点検や修繕の作業は遅れている。人手や技術、予算の不足が障害になっており、行政が縦割りを排して取り組むことが大切だ。
 過疎化で利用が減っている施設もある。市町村が維持か廃止かを主体的に仕分けすることも避けて通れない課題である。
 高度成長期に集中的につくられた道路やトンネル、橋などのインフラは、本格的な修繕が必要な時期にさしかかっている。笹子の事故では点検の不備などが問題になり、全国的に安全対策を強めるきっかけとなった。
 国内に70万余りある橋や約1万のトンネルは、5年ごとの点検が義務化され、今年3月までに半数ほどが作業を終えた。修繕はさらに遅れが目に付く。15年度までに「早期の措置が必要」と診断された橋のうち、修繕に着手したものは1割余りにとどまる。
 インフラの安全確保にまず責任を負うのは、それぞれの管理者だ。危険を放置することは許されない。緊張感を持って対応を急いでほしい。
 人手や技術の面では、行政同士や官民の連携が不可欠だ。
 点検や修繕を複数の市町村が共同で進める。国の出先機関や都道府県が市町村の仕事を代行する。市町村向けに助言や技術研修を行う。新技術を採り入れて作業を効率化する――。垣根を越えてやるべきことは多い。
 予算については、国が交付金で自治体を支援しているが、財政難のもとでは大幅な増額は難しい。各管理者が財源の確保に努めることが欠かせない。余裕がないなら、新規事業は最小限に絞り、維持・更新に注力すべきだ。早めに修繕した方が長持ちすることを念頭に置いて、計画的に取り組んでほしい。
 とはいえ、すべてを維持することは望めない。すでに全国で2千を超える橋が、老朽化のために通行止めになったり通行の一部が制限されたりしている。
 財政事情や利用者の減少を理由に、こうした例はさらに増えるだろう。人口減少の現実に向き合うしかない。
 何を繕い、どこをあきらめるか。行政が安全性や対策費用などの情報を公開し、地元の住民と対話を重ねながら見極めていかねばならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。