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【宮崎日日新聞】 平和主義

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◆実行に移せるかが問われる◆
 2018年の日本は、平和の誓いを実行に移せるかが問われる。平和を守るとは志や言葉だけではない。戦火につながりかねない朝鮮半島の軍事的緊張をどう終結させるかという具体的な政策遂行である。憲法改正の議論が盛んになる中、平和主義を次世代に向けて確認できるか。突き付けられる問いは重い。 緊張高まる朝鮮半島
 今年は明治改元から150年の節目の年だ。歴史を顧みれば、前半の日本は大規模な対外戦争を定期的に起こす軍事の国だった。日清戦争、日露戦争、中国大陸での泥沼の戦い、太平洋戦争と破局に向かった。道を間違えた理由は大国競争の時代環境に流され、守るべき「開国和親」の原則を忘れ、力を過信したからである。
 その反省から戦後70年余、平和主義を心に刻みこんで日本は成長した。中心となったのが人々を戦火の犠牲にしないという決意であり、シンボルは平和憲法である。
 しかし、日本は今、岐路に立つ。北朝鮮情勢は、今の圧力路線で北朝鮮が譲歩してこない場合、軍事衝突の懸念がさらに高まる。「軍事対立が近づいている。朝鮮半島から米人家族を避難させる時だ」(グラム米共和党上院議員)との切迫した声も聞こえる。米国に足並みをそろえ、北朝鮮への制裁を強化する安倍晋三首相は「制裁の効果は間違いなく出ている」と自信を見せる。だが、軍事衝突を回避する決意はどうだろうか。
 朝鮮半島の核兵器、万が一の戦争が、日本にもたらす災いを考えれば、外交で核・ミサイル問題を解決する強固な決意を示すべきだ。鍵を握る中国、ロシア、韓国を巻き込んだ地道な外交をなぜ展開しないのだろう。トランプ米大統領は米国第一主義を貫く。そんな米国に任せてよいだろうか。 世界に広める正念場
 朝鮮半島を舞台に何度も戦争を起こした日本は、今の緊張を人ごととは見られないはずだ。だが、長い平和の享受で緊張感を失ったのだろうか。平和の誓いが風化しつつあるように見える。
 憲法改正問題は今年、国民的な議論になりそうだ。集団的自衛権の行使が可能となり、米軍との協力が深みと広がりを見せる今、果たして安全保障上本当に、憲法9条の改正は必要なのか、という根本の議論も終わっていない。
 ミサイル防衛の整備や護衛艦の空母転用の検討、敵基地攻撃能力の保有論が高まるなど、加速する防衛態勢強化の動きに、国民的な議論がないのも気がかりだ。
 トランプ、習近平、プーチンという米中ロ3大国の首脳が虚々実々の駆け引きをする世界で、平和主義こそ日本が誇れる最高の教訓であることを肝に銘じたい。これは理想論でなく、軍事大国になり得ないこの国の現実主義の戦略であるのだ。平和を守り、世界に広める努力に汗をかかなければ、理念倒れと受け取られ埋没する。日本にとって正念場の年である。

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