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【茨城新聞】 経済展望 内需主導の成長軌道に

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2017年の日本経済は緩やかな景気拡大が続いたが、輸出頼みの部分が大きく、内需はまだ力強さを欠いている。18年は米国の利上げ継続など海外経済のリスク要因が少なくない中で、経済を内需主導の成長軌道に乗せ、デフレ脱却の道筋をつくりたい。
実質国内総生産(GDP)は17年7〜9月期まで7四半期連続のプラス成長を記録した。現在の景気拡大は12年12月から始まり、17年9月に高度成長期後半の「いざなぎ景気」(57カ月)を抜いて戦後2番目の長さとなったとみられる。
しかし、景気拡大期間のうち消費税増税の影響による14年度のマイナス成長は、なぜか景気後退と判定されておらず、この数字は事実上、水増しされていると言わざるを得ない。この間の成長率も低く、好景気が続いている実感は乏しい。
直近の17年7〜9月期も、GDPの成長率は前期比で年率換算2・5%とかなり高いものの、その内実はひ弱である。内需の両輪のうち企業の設備投資はまずまずだが、GDPの約6割を占める個人消費は前期比0・5%減と低迷している。世界経済の拡大を背景とする輸出の好調に支えられた成長で、内需のけん引役は不在のままだ。
今、自律的な経済成長に必要なのが個人消費の回復であることは明らかだ。その鍵を握っているのは春闘での賃上げである。安倍晋三首相は民間企業に3%以上の賃上げを要請した。その条件は雇用情勢の改善により整いつつあると思われる。
最近の有効求人倍率は1・56倍と約43年ぶり、完全失業率は2・7%と24年ぶりの水準に達している。人手不足が強まっているのに賃金が伸び悩んでいるのが不思議だといわれてきたが、そろそろ雇用改善が賃金上昇に波及することが期待できるのではないだろうか。もし十分な賃上げが実施されれば、個人消費が拡大し、それによる「良い物価上昇」という経済の好循環がつくられ、デフレ脱却の展望が開けてくる。企業には最大限の賃上げ努力を求めたい。
海外経済は引き続き堅調が予想されるが、不安要因も少なくない。米国の金融政策の「出口戦略」による金利上昇は、新興国の通貨安と資金流出を招く恐れがある。中国経済が失速すれば、世界経済に大きな打撃を与える。北朝鮮情勢も警戒が必要だ。日本経済が輸出に頼っている限り、海外経済に変調が生じた場合、景気の減速は免れない。内需中心の成長を実現することが不可欠なゆえんだ。
日銀は現行の金融緩和を継続するとともに、海外経済の成長鈍化などに機動的に対応できる態勢を整えておくべきだ。反対に、経済指標の一時的な改善に惑わされて、早まった金融引き締めに着手するようなことがあってはならない。慎重な政策運営を求めたい。
19年10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。政府はこれによる財源の一部を人づくり革命の具体策である幼児教育の無償化に充てる方針だ。良好な経済環境が続いていることが引き上げの前提になる。
18年は現在の景気拡大を維持し、その勢いを19年につないでいくことが欠かせない。上向いてきた国内景気の腰折れを防ぎ、海外経済の減速などのリスクにも適切に対応するきめの細かい経済運営を求めたい。

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