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【読売新聞】 混迷する世界 強権政治の台頭は許されない

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 ◆自由と民主主義を守る正念場だ
 「米国第一」を掲げるトランプ大統領の予測不能の政治が続く。
 自由、民主主義、人権といった第2次大戦後の普遍的な価値観は、二の次に置かれた。
 中国とロシアは間隙(かんげき)を縫って、影響力の拡大を図る。法とルールに基づく秩序をどう維持するか。正念場の年となろう。
 ◆続くトランプ・リスク
 トランプ氏は政権2年目に入る。国際社会での孤立をいとわず、米国の目先の経済的利益や雇用を最優先し、支持者にアピールする姿勢は変わるまい。
 すでに、環太平洋経済連携協定(TPP)や、地球温暖化対策の「パリ協定」から離脱表明した。戦後の繁栄をもたらした自由貿易体制と国際協調に背を向けた。
 エルサレムをイスラエルの首都と認定した。国内のキリスト教福音主義者やユダヤ系団体の支持を固めたが、中東和平の仲介役の立場を失った。認定を無効とする国連総会決議で、賛成国への援助停止まで示唆し、恫喝(どうかつ)した。
 身勝手な言動は、各国の信頼を失い、米国の指導力を低下させるだけではないか。中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と「取引」し、利益を分け合うシナリオも憂慮される。
 安全保障政策では、「力による平和」をスローガンに、米軍増強を打ち出した。
 核・ミサイル開発を継続する北朝鮮に「最大限の圧力」を加える戦略は妥当だ。日本などと連携し、非核化に向けた対話に引き出す取り組みも欠かせない。
 中国に北朝鮮問題の解決を委ねる態度は物足りない。習氏から「米中両国で太平洋を二分しよう」と提起された要因だろう。
 11月には米議会の中間選挙を控える。内向き志向がさらに強まるのは間違いない。政権とロシアの癒着疑惑に関する捜査の行方も不透明だ。今年もトランプ政治は大きなリスク要因である。
 ◆中露は模範になり得ぬ
 習氏は政権2期目に入った。軍事、経済両面で米国と並ぶ「強国」の建設を目指す。巨大経済圏構想「一帯一路」や南シナ海の軍事拠点化がその足掛かりとなろう。
 プーチン氏は、3月の大統領選で再選が確実視されている。
 ウクライナのクリミア併合から続く欧米の経済制裁に反発し、「大国の復活」を掲げて、国民の愛国心を鼓舞する。
 習氏とプーチン氏には、共通点が多い。米国の隙を突いて「力による現状変更」を進め、支配圏を拡張する。政敵を排除し、自らに権力を集中させる。メディアを統制し、批判を許さない。
 覇権主義と強権政治は、日本や米欧の価値観と相反する。世界の模範や標準にはなり得ない。放置すれば、自由で開かれた国際秩序が危機に瀕(ひん)しよう。
 日欧は米国に働きかけて中露の強権姿勢を抑え、各国間の信頼が醸成されるよう努力すべきだ。
 中東は、内戦やテロ、難民の人道危機などの問題が絶えない。
 サウジアラビアでは、ムハンマド皇太子が強硬外交を主導する。国交を断絶したイランとの覇権争いが激化しているのは、懸念材料だ。双方が支援する勢力による「代理戦争」がイエメンなどで続く。
 過激派組織「イスラム国」は、イラクとシリアでほぼ一掃された。
 脅威が消えたわけではない。テロを煽(あお)る宣伝は、ネットを通じて拡散している。欧州出身の戦闘員が母国で活動する恐れもある。
 国際社会はテロ阻止に向けて、国境管理や情報共有を徹底しなければならない。戦火で荒廃した国への復興支援も重要だ。
 欧州では昨年、オランダ、フランス、ドイツの国政選挙で、欧州連合(EU)を重視する政党や候補が勝利した。難民の大量流入や相次ぐテロで高まった排外主義とポピュリズム(大衆迎合主義)に一定の歯止めがかけられた。
 ◆欧州の結束が問われる
 波乱要素は、3月のイタリア総選挙だ。新興ポピュリズム政党の「五つ星運動」が、第1党の座に就く可能性がある。ポーランドの右派政権が司法を統制する強権政治を行い、EUとの亀裂が深まっているのも見過ごせない。
 英国はEUから離脱する交渉を進める。EUの求心力と結束を維持するには、フランスとドイツの強い指導力が不可欠だ。
 マクロン仏大統領は、ユーロ圏統合の推進など、野心的なEU改革を提唱する。メルケル独首相は、総選挙後の連立工作を巡る混乱から抜け出し、4期目の政権を早期に発足させねばならない。

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