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【山陽新聞】 経済の行方 好循環をつくり出せるか

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 国内景気は2012年末から拡大が続き、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2位の長さに達したとみられている。そう言われても日々の暮らしの中で実感を持てない国民は多いに違いない。
 第2次安倍政権の発足から始まった経済政策「アベノミクス」は6年目を迎えた。安倍晋三首相は年頭所感で、成果として有効求人倍率の上昇などを挙げ、「日本はまだまだ力強く成長できる」と強調した。
 だが、長く続いてきた金融緩和は副作用も指摘されている。賃金の上昇など、国民の実感を伴う好循環をつくり出せるかが問われている。
 アベノミクス開始からの5年間で円安は進み、株価は上昇した。昨年末、東京株式市場は1991年以来26年ぶりに2万円台で取引を終えた。かろうじて1万円台だった第2次政権発足時の倍を超える。東京外国為替市場の円相場は1ドル=112円台後半で、政権発足時の85円台から円安ドル高が進んだ。
 アベノミクスを支えたのが2013年4月からの「異次元」の金融緩和である。日銀が大量に国債を買って市場にお金を流し込む。超低金利の状況がつくられ、為替は円安になり、株価は上がった。株式市場はバブル景気を思わせるような高揚感が漂うが、日銀による上場投資信託(ETF)の購入などが相場を下支えしている現状もある。
 問題なのは大規模緩和が長期に及んでいることだ。日銀は当初、2年程度で物価上昇率2%の目標を実現する予定だったが、5年近くたっても達成される見込みはない。直近の消費者物価指数も0%台後半にとどまる。
 物価上昇目標を果たせないまま、低金利による銀行の収益悪化などの副作用も覆い隠せなくなっている。さらに、極度の低金利状況で政府の利払い費が減り、財政規律の緩みを招いていることも見逃せない。安倍政権は基礎的財政収支を20年度に黒字化する財政健全化目標も断念した。
 金融緩和が永遠に続けられるわけはない。日銀の黒田東彦総裁は4月に任期満了となる。あらためて大規模緩和の是非と、今後の出口戦略が問われることになりそうだ。
 アベノミクスは当初、金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」が掲げられたが、成長戦略の具体的な戦略や成果は乏しいままだ。企業は経営環境の悪化に備え、利益を内部留保に回している。賃金は上がらず、設備投資も力強さを欠いている。上昇する有効求人倍率も、人手不足という課題を浮き彫りにしている面がある。
 安倍政権は18年度から、補助金や減税を通じて企業に投資や賃上げを促す「生産性革命」を進める。具体的な成果が問われることになる。

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