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【西日本新聞】 今年の日本経済 景気追い風に未来の礎を

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 株価の上昇をはじめ、日本経済には明るい動きが広がっている。
 景気の回復は、特別なことがない限り今年も続くだろう。個人消費は実質所得の伸び悩みで勢いを欠くかもしれないが、企業の高収益や人手不足の解消に向けた省人化、研究開発投資などが景気の押し上げ要因となりそうだ。堅調な世界経済を背景に、輸出も緩やかなペースで拡大するとみられる。
 実質GDP(国内総生産)成長率は1%台前半の予測が多く、安定したプラス成長の見込みだ。
 ●注目の「日銀」と「骨太」
 そんな時だからこそ、政府も民間も、未来の礎を築くことが大切だ。経済財政政策では、財政健全化や社会保障制度改革に本格的に取り組む必要がある。企業にも景気回復を追い風に、生産性向上に向けた果敢な挑戦を求めたい。
 今年の日本経済で、まず注目すべき出来事は4月、6月にある。
 4月には黒田東彦日銀総裁の任期が満了する。再任されるにせよ、新総裁が 就任するにせよ、金融政策の在り方が大きな議論になるだろう。
 日銀による異例の金融緩和は長期化の弊害が目立つ。短期金利をマイナス0・1%にし、長期金利を0%近辺に誘導する政策に沿って日銀は大量に国債を購入しており、保有残高は約438兆円に膨らんでいる。これが国債市場の機能不全を招き、国債の利払い費抑制という形で政府の財政規律も緩ませている。株式市場では日銀が投資信託を通じて大量の株を買う結果、価格形成をゆがめている。
 「物価目標2%」を掲げているためだが、目標の柔軟化や副作用への対応が必要ではないか。
 6月には政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)が公表される。
 今年の骨太方針は、財政再建への政府の本気度が試される。安倍晋三首相は、2019年10月に予定される消費税増税で税収の一部を借金返済ではなく、幼児教育無償化などの財源へ使途を変更した。同時に、20年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を先送りしている。
 次の目標年をいつにするのか、新たな財政健全化計画を示すという。目標年が遅くなり過ぎれば、日本の財政運営の信認も揺らぐ。何より実効性が担保された計画でなければならない。
 そして秋には、その消費税率10%への引き上げに関する最終判断を迫られる。もう先送りの選択はないはずだ。財政健全化に着実に取り組み、金融政策正常化への道筋も描く年にしたい。
 ●「未来への投資」こそ
 昨年、企業の9月中間決算発表は好業績に沸いた。東京証券取引所の1部上場企業全体の売上高は前年同期比8・3%増、純利益も同22・5%増と過去最高を更新した。18年3月期の純利益も同10%台の増益が見込まれている。
 問題なのは、その一方で賃金の伸びが、まだまだ鈍いことだ。
 しびれを切らした政府は、18年度の税制改正で、賃上げや設備投資に取り組んだ企業の法人税負担を引き下げることを決めた。これがうまく作用し、企業が抱える現預金が賃上げや設備投資に向かうことを期待したい。
 さらに企業に望みたいのは日本企業の矜持(きょうじ)や美質の回復である。
 昨年は「ものづくり日本」の大企業で品質管理の不祥事が相次いだ。不正の背後には、一般的にオーバースペック(過剰品質)を追求してきた日本企業の「これぐらいは許されるだろう」との甘えや慢心がある。グローバルな基準の下ではルールが全てだ。順守を肝に銘じてほしい。それが失った信頼と矜持を取り戻す道でもある。
 その上で企業に求めたいのは、かつて日本企業の美質でもあったチャレンジ精神の回復だ。挑戦する気概がいつの間にか忘れ去られ、守りの経営に変質している。
 果敢に技術革新やその産業化に挑んでほしい。ビッグデータの活用やAI(人工知能)、ロボット、IoT(モノのインターネット)のほか、シェアリング・エコノミーなど産業の新しい潮流にも目配りし、リスクを恐れない経営をしてほしい。規制緩和にも正面から向き合い、ビジネスチャンスに結び付ける工夫が大切だ。
 景気が順調だからこそ挑戦も可能だ。「未来への投資」を加速してほしい。主役は民間である。

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