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【中日新聞】 貴乃花親方処分 伝統にあぐらかくな

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 貴乃花親方の理事解任が正式に決まり、日本相撲協会は暴行事件に関連する関係者の処分を終えた。しかし根底にある暴力許容などの古い体質は、今のままでは変わらないのではないか。
 元横綱日馬富士の暴行事件に端を発した一連の問題は、昨年十月の事件発生から二カ月余を経て、ようやく一つの区切りを迎えた。ただ、これはゴールではなくスタート地点に立っただけであることを、大相撲関係者はあらためて肝に銘じてもらいたい。
 そもそも、これらの問題がなぜ起こってしまったのかが、いまだ解明されていない。
 兄弟子が弟弟子に礼儀、礼節などを指導するという名目で「かわいがり」と称される暴力をふるうことは今に始まったことではない。過去にも不幸な事件はあり、今回も同じ横綱の白鵬、鶴竜らが日馬富士の暴行をすぐに止めようとしなかった。暴力許容の体質が、現在もあることが分かる。
 日本相撲協会も、貴ノ岩の師匠である貴乃花親方が被害届を出したことを鳥取県警から伝えられた時に大ごとではないと判断し、県警の指示もあって即座に対応しなかった。一般社会の組織なら大問題となることでも、相撲界では「常識」と、とらえてしまうからだろう。
 一方の貴乃花親方は協会の理事で巡業部長という立場にありながら、事件を協会に報告しなかった。協会の危機管理委員会の聴取で、県警に報告を依頼したから義務を果たしたと答えたというが、これも常識では考えられない。
 報告を協会に直接したくない思いがあると推察されるが、その背景にあるものは公の場でかたくなに口を閉ざし続けているため、伝わってこない。
 ここ数年、日本のスポーツ界は大きく様変わりした。プロ野球はDeNAや楽天などが次々と新しいアイデアを打ち出してファンの心をつかみ、バスケットボールも分裂していた組織が一つとなってBリーグを立ち上げ、地域と密着した運営を繰り広げている。
 しかし今回の問題で浮かび上がったのは、いまだ暴力が横行する大相撲界の古い体質であり、運営母体である理事会の亀裂だ。貴乃花親方は二月の理事候補選挙に出馬すれば一門の票を背景に当選が有力視されているという。このままでは何も変わらない。伝統の上にあぐらをかかず、根底から改革する決断と実行を求めたい。  

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