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【読売新聞】 安倍内閣6年目 長期目標掲げて政策で結果を

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 ◆謙虚で丁寧な政権運営を怠るな◆
 安倍内閣が政権復帰から6年目に入った。
 今年秋の自民党総裁選で安倍首相が3選を果たせば、任期は2021年9月まで延びる。19年には通算在職日数が歴代最長の桂太郎首相の2886日を抜き、超長期政権が視野に入る。
 重要なのは、安定した基盤を活用し、長期的な目標を掲げつつ、政策で具体的な成果を上げることだ。デフレ脱却と財政健全化の両立、持続可能な社会保障制度の構築などの困難な課題に、正面から取り組むことが求められる。
 ◆建設的な自民総裁選に
 首相は年頭記者会見で、22日に召集予定の通常国会を「働き方改革国会」と位置づけ、「多様な働き方を可能にすることで1億総活躍社会を実現する」と語った。
 首相は、国政選に5連勝した実績と高い支持率を誇る。石破派を除く党内各派との関係も良好だ。総裁選に向けた不安要因は、長期政権に伴う「驕(おご)り」と「緩み」だろう。昨年7月の東京都議選で自民党大敗の要因ともなった。
 「自民1強」の数の力を過信せず、謙虚な政権運営に努めねばならない。首相は国会質疑でも、自説を一方的に語るのではなく、丁寧かつ誠実な答弁に努めることが大切である。
 議院内閣制の下、政策決定を首相官邸が主導する「政高党低」は本来、望ましい姿である。
 だが、大学を含む教育無償化を昨年の衆院選の自民党公約で唐突に打ち出し、政策パッケージをまとめた経緯は拙速で、バラマキが目立つ内容にも疑問が多い。
 党内外の意見に真剣に耳を傾けて、政策の優先順位や費用対効果を冷静に吟味する必要がある。
 総裁選を、安倍政権の重要政策を点検し、建設的な論争を行う機会とせねばなるまい。
 政府は今月上旬にも、来年4月末の天皇陛下の退位に向けて、一連の儀式のあり方などを検討する委員会を設置する。新たな元号は今年中に発表する方向だ。
 約200年ぶりとなる退位の儀式をいかに位置づけるか。退位後の上皇の活動内容をどうするか。議論すべき課題は多い。
 円滑な退位・即位と改元の実現へ、政府は、準備を周到に進め、万全の体制を取る必要がある。
 ◆活発な憲法論議が重要
 通常国会では、憲法改正論議の行方が注目される。首相は「あるべき憲法の姿を提示したい」と述べ、改正に意欲を示した。
 自民党は昨年末、4項目の論点整理を公表した。焦点である自衛隊の明記では、戦力不保持を定めた9条2項を維持する「加憲」案と、削除する案を併記した。
 加憲案は、現行の憲法解釈を変更せずに、自衛隊の合憲性を明確化する。2項の削除案よりも抵抗が少ないのは確かだろう。
 大規模災害時などの緊急事態条項では、国会議員の暫定的な任期延長を認める案と、被災者の救援・支援を効率化するため、政府に権限を集中する案を示した。
 国政選が実施できず、被災地の国会議員が不在となるような事態は避けねばならない。より多数の被災者を救うため、一時的に私権を制限できる規定は、他国の憲法の多くも備えている。丁寧な説明で国民の理解を広げたい。
 公明党や、立憲民主党、希望の党、日本維新の会も、自民党の動きを傍観すべきではあるまい。それぞれの改正案を持ち寄り、大いに議論を深めてほしい。
 英国やイタリアでは16年、欧州連合(EU)残留の是非や憲法改正に関する国民投票で、時の政権の意向に反する結果が出て、大きな政治的混乱が生じた。
 各党は、国民投票で過半数を得るというハードルの高さを踏まえて、まずは幅広い合意形成に努力することが肝要である。
 ◆野党再編は政策重視で
 昨年秋の民進党の分裂と衆院選の結果、野党は「多弱」傾向が一段と進んだ。巨大与党に対抗できる勢力への再編は進むのか。
 民進党は昨年末、立憲民主党と希望の党に統一会派の結成を打診した。19年の統一地方選と参院選を「民進党のままでは戦えない」という危機感からだ。蓮舫・元代表らが離党し、立民に合流する動きも相次いでいる。
 立民は「希望との統一会派はあり得ない」と拒否した。希望も慎重な姿勢を示しており、民進党との協議は決着していない。
 集団的自衛権などを巡る見解の違いを放置したまま、民進勢力の再結集を図っても、国民の支持は得られない。野党再編は、あくまで理念と政策の一致が前提になることを肝に銘じねばなるまい。

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