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【山陽新聞】 外交・安全保障 問われる米国との距離感

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 国際情勢の先行きが、ますます見えにくい混迷の年になりそうだ。大きな原因はトランプ米大統領にある。「米国第一」を掲げて打ち出す強引で独善的な政策には各国の批判が強い。“蜜月”関係を築いた安倍晋三首相の外交にとって正念場といえよう。
 直面する外交・安全保障の最大の懸案である北朝鮮問題をめぐっては、またもや大陸間弾道ミサイル(ICBM)が近く発射されるとの情報が飛び交う。9月の建国70周年に向けては、核を搭載したICBMの実戦配備宣言も言われ、緊張が高まる。日米は引き続き、国連安保理の制裁決議の実施など「圧力最大化」で核放棄を促す考えだ。
 だが、トランプ氏と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長ともに強硬姿勢を崩さないだけに、偶発的出来事から軍事的衝突に及ぶ事態にもなりかねない。そうなれば米軍基地がある日本は多大な犠牲を被る可能性が大きい。首相にはトランプ氏が冷静さを失わぬよう、時に自制を求めることも必要だ。
 制裁効果を高めるには、国際社会の強い結束が欠かせない。トランプ氏も必要性を強調するが、先月発表した政権初の「国家安全保障戦略」では各国との協調姿勢は後退している。包囲網の鍵を握る中国、ロシアを米国が築いてきた戦後秩序に対抗する「修正主義国家」と位置付け、持論の「力による平和」の方針を貫く姿勢を明確にした。
 日本外交の展望は米政権追随だけでは開けまい。独自の判断で多くの国と友好な関係を維持することが必要だ。その点、トランプ氏が支持者を意識して中東の古都エルサレムをイスラエルの首都と認定した際、日本が反対を明確に示したことは評価されよう。
 近隣国との関係改善も重要となる。最も機運が高まっているのが日中関係だろう。8月には平和友好条約締結40周年を迎える。日本政府はこれに合わせ、安倍首相と中国の習近平国家主席の相互訪問につなげたい意向だ。
 首相は自身が掲げる対外政策「自由で開かれたインド太平洋戦略」を中国主導の現代版シルクロード構想「一帯一路」と連携させる意向を固めた。同戦略は、海洋進出を強める中国をけん制する色合いが濃いものだっただけに、いかに整合性を取って信頼関係を築けるかが問われる。
 日韓関係では従軍慰安婦問題が影を落としたままだ。ロシアとの関係では北方領土での共同経済活動を具体化させたい意向だが、領土問題を含む平和条約締結交渉の展望は開けておらず、課題は多い。
 米国では11月に中間選挙が行われる。トランプ政権の内向き志向は一層強まりそうだ。首相は日米同盟を基軸に据える一方、米国との距離感も測りながら、政策判断を下していくことが求められる。

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