Home > 社説 > 地方紙 > 四国地方 > 高知新聞(高知県) > 【高知新聞】 【岐路の年 地方】自治を次代へ引き継ぐ
E255-KOCHI

【高知新聞】 【岐路の年 地方】自治を次代へ引き継ぐ

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 65歳以上の高齢者が半数を超え、社会的共同生活が困難になる「限界集落」論を提唱した大野晃・高知大学名誉教授は十余年前、本紙の取材に述べている。
 住民が主体的に地域を考え、提起し、国政を動かしていく状況にしなければ地方分権は形成できない―。
 戦後の高度成長政策は経済的な繁栄をもたらした陰で、地方と都市の「過疎と過密」を招いた。国土形成のゆがみは修正されることなく、今に至る。参院選の「合区」問題の根もここにある。
 国は1970年に過疎法を制定、地方へ莫大(ばくだい)な予算を投じてきた。だが、地域の衰退と東京一極集中は止まらず、国会は93年「地方分権の推進」を決議。そして明治維新、戦後民主主義改革に次ぐ「第三の改革」と言われた地方分権推進法制定から20年余。期待通りの分権は進まず、地方の疲弊は加速する。
 大野氏は限界集落の広がりを許す先に、自治体そのものが「限界」化すると警鐘を鳴らしてきた。その現実的な姿をほうふつとさせたのが、昨年の大川村での「村民総会」の想定議論ではなかったか。
 「議員のなり手不足」という視座のみにとどまっていては、400人の村が投げ掛けた本質論を見失う。確かに、兼業兼職規制の見直しや夜間議会など議会参加の環境づくりへの模索は必要だが、過疎化が極まる自治体では人材確保そのものの「限界」が起きかねない。
 地方自治体は住民が首長と議員を直接選挙で選ぶ「二元代表制」で成る。議会だけではなく、首長選の無投票も全国で相次いでいる。自治体の運営を担う「車の両輪」がきしんできているのだ。
 憲法と地方自治法は地方自治の保障を規定している。住民主体で地方自治を形づくり、国は自治の充実を支援する。その地方と国の「対等・協力」関係は健全に機能しているのか。それこそが大川村の自問でもあり、国への提起だろう。
 安倍政権は東京一極集中の是正を関連法に明記し、「地方創生」を掲げてきた。ただ、その中身は「知恵を出した地方にはカネを出す」という、旧来の「上下・主従」体質のままではないか。
 全国知事会も「交付金を通じたソフトな中央主権」との表現で警戒感を示す。知事会からは国の政策決定過程へ地方の参画を求める要望も上がるが、国会で大きな議論にはなっていない。「1強」の安倍政権に対し、かつての「闘う知事会」の勢いも見られない。
 「私は反対です」。村民総会に対し、大川村の小学6年の児童が本紙「声ひろば」に寄せてくれた意見だ。「お年寄りが多く、交通手段も少ない」と理由を挙げ「女性議員を探す―」と提言している。地域への愛着の視線が鮮やかだ。
 自治とは―。その原点を見る思いがする。地域を次代へどう引き継いでいくか。地方も、国も子どもたちの希望に応える責務がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。