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【信濃毎日新聞】 民泊の条例 国の方針に従うだけか

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 戸建てやマンションなどの一般住宅に有料で客を泊める「民泊」の区域や期間を制限する条例の骨子案を昨年末、県が公表した。6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)に都道府県条例での規制が盛られているのに基づく。県会2月定例会に条例案を提出する。
 制限対象の区域と期間は▽学校や社会教育施設などの敷地から100メートルで児童の登校日▽家主や管理者がいない住宅が住居専用地域で営業する場合の平日▽別荘地で滞在者が多い期間▽スキー場周辺などで道路事情が悪くなる時期―としている。
 「住居専用地域」の規制を除けば、国がガイドラインで例示したのとほぼ同じである。全期間や市町村全域の規制は「法の目的を逸脱し、適切でない」とする国の見解にも従った。
 新法は、外国人観光客の急増に伴い、東京や大阪、京都などで既存の宿泊施設では収容しきれなくなっているため制定された。
 県内の既存宿泊施設の稼働率は一昨年、約35%で全国最低だった。大都市部とは事情が異なる。静穏な環境を保つことを含め、市町村や宿泊業界からは強い規制を求める声が出ていた。条例骨子案はこれに応えたとはいえない。
 地方自治の根幹である条例制定権はあくまで県にある。その内容まで国に従ういわれはない。
 実際、兵庫県は国の見解に反して住居専用地域、学校など教育・児童福祉の施設から100メートルは「全期間」営業を制限する条例骨子案をまとめている。「県民の生活環境の悪化や近隣トラブルの防止」などを理由に挙げる。東京都大田区も同様だ。自治体が国とどう向き合うかも問われている。
 国の姿勢にそもそも問題がある。新法は、条例で民泊を制限できるのが「騒音の発生その他の生活環境の悪化を防止する必要があるとき」に限っている。白馬村議会の意見書のように「既存宿泊施設の稼働率が下がる」という理由での制限は認められない。
 軽井沢町は既に町内全域で民泊を認めないとする自然保護対策要綱を定めている。国の見解に従うとしたら、要綱を改めなければならないのか。
 国の言う通りにするのでは県は役割を果たせない。
 県は今後、市町村から意見を聞き、具体的な制限区域や期間を規則で定める。どう共存するのか。市町村が住民や営業希望者の声を集約し、県とともに知恵を絞る努力が求められる。 (1月5日)

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