Home > 社説 > 地方紙 > 中部地方 > 信濃毎日新聞(長野県) > 【信濃毎日新聞】 南北連絡再開 真意を慎重に見極めねば
E175-SHINANO

【信濃毎日新聞】 南北連絡再開 真意を慎重に見極めねば

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 北朝鮮が韓国との南北直通電話回線を再開した。2016年2月に全ての連絡チャンネルを遮断して以来、約2年ぶりである。
 両国の関係改善、朝鮮半島の緊張緩和につながるかは不透明だ。北朝鮮の意図を慎重に見極めつつ、対話の回路を開く必要がある。
 韓国統一省が3日、北朝鮮側から電話を受け、約20分通話したと発表した。通信や機器に問題がないかなどを確認したという。2日目のきのうも進展はなかった。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、施政方針に当たる「新年の辞」で韓国への融和姿勢を示していた。平昌(ピョンチャン)冬季五輪と北朝鮮建国70年の今年は双方にとって「意義のある年だ」とし、関係の改善を呼び掛けている。
 今回の通話は、五輪に代表団を派遣する用意があると述べたことに伴う措置だ。韓国政府は高官級の当局者会談を提案し、金氏が高く評価したという。北朝鮮側は韓国の文在寅大統領に初めて「大統領」の呼称をつけ、交渉相手として尊重する姿勢を見せた。
 本気で関係改善を図るつもりなら歓迎できる。残念ながら、真意はまだつかめない。
 双方の思惑には違いがあり、協議の先行きは見通しにくい。北朝鮮は五輪への代表団派遣に絞った会談にしたいようだ。一方、韓国側は五輪とともに「南北関係改善のための互いの関心事」を議題にしたいと表明している。
 金氏は「南北の軍事的緊張を緩和し、平和な環境をつくるため共に努力すべきだ」と指摘し、米韓合同軍事演習や米軍の戦略兵器の展開を中止するよう改めて要求した。米韓関係にくさびを打ち込もうとしている可能性もある。
 過去には、中断していた高官級協議の再開に合意しながら、北朝鮮がその後応じなかった経緯もある。一筋縄ではいかない。南北関係の改善を核・ミサイル開発問題の解決につなげる強い姿勢が韓国側に求められる。
 トランプ米大統領とは威嚇的な言葉の応酬が続いている。「米本土全域が核攻撃の射程圏内にあり核のボタンが私の事務室の机上に常に置かれている」とした金氏に対し、トランプ氏は「私の核のボタンの方がずっと大きく強力」とツイッターに投稿した。
 今週から来週にかけて北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射に踏み切るとの報道もある。対立がエスカレートすれば、衝突の危険が増す。米朝ともに緊張を高める振る舞いは自制すべきである。 (1月5日)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。