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【陸奥新報】 北朝鮮の核ボタン「五輪参加なら相応の姿勢示せ」

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 年始早々から北朝鮮をめぐる動きが活発化している。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で「核のボタン」について述べると、米国のトランプ大統領がツイッターで応酬した。一方で北朝鮮側は、韓国側との連絡チャンネルを約2年ぶりに再開し、韓国で開かれる平昌五輪に選手を派遣する用意があることも明らかにした。
 金委員長は「米本土全域が核攻撃射程圏内にあり、核のボタンが机の上にいつもある」と述べ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦配備を事実上宣言。これまで重ねてきた核実験、ミサイル開発の成果を踏まえ国内外、特に“標的”とする米国に“核保有国”であることを示した。
 対する米国は脅しに屈しない強い姿勢を貫いている。トランプ大統領はツイッターに「(米国の核が)彼(金委員長)のものよりずっと大きく、より強力だ」と投稿。さらに「私のボタンは(きちんと)作動する」と強調した。北朝鮮が主張する核兵器が信頼性などで劣ると揶揄(やゆ)したもので、金委員長のさらなる反発を誘うだろう。
 米朝が言葉で挑発し合うのはこれまで通りだが、核のボタンという具体的な言葉に危機感を覚える。昨年、ノーベル平和賞を受けた国際的NGO連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン」のフィン事務局長は「トランプ大統領が核のボタンを握り、世界を破滅させ得ることを心配する人は、問題の根本が核兵器であることを分かっている」とし、偶発的事故などの危険性を指摘している。
 トランプ大統領でこうであるのだから、金委員長が握っているとする核のボタンはどうなる。自らの体制強化へ粛清を進め、国際社会から強い批判と制裁を受けながらも、ミサイルを発射し続けてきた。さらにトランプ大統領が言うようにきちんと作動せず、偶発的事故などの懸念が現実になれば、ミサイルが上空を通過する可能性のあるわが国が抱えるリスクは極めて大きい。
 安倍晋三首相は4日の年頭会見で「従来の延長線上でなく、真に必要な防衛力の強化に取り組む」と表明した。国が国民の安全確保に全力を尽くすのは当然だが、不測の事態に国民が冷静に行動できるとは思えない。不安は膨らむ一方だ。
 対米で強硬な態度を崩さぬ北朝鮮だが、対韓には融和姿勢も見せた。連絡チャンネルの再開がそれで、北朝鮮側は「韓国側と緊密な連携を取り、(平昌五輪への)代表団派遣に関連した実務的問題を論議していく」との声明を発表した。今後の南北対話に期待したいが、核をちらつかせて米国をけん制する現状の打開は困難だろう。平昌五輪は世界最大の冬季スポーツの祭典であり平和の祭典だ。北朝鮮が選手を派遣するというのであれば相応の姿勢を示さねばならない

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