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【中国新聞】 首相の年頭会見 難題から目をそらすな

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 安倍晋三首相はきのう、伊勢神宮に参拝した後、年頭記者会見を行った。第2次政権の発足から数えて6回目になった。仮に9月の自民党総裁選を乗り切れば、歴代最長も視野に入れた長期政権が現実味を増す。
 その注目される総裁選対応について、首相は「(大勝した)昨年の衆院選で約束したことを実行するのが私の責務だ」と、22日召集予定の通常国会に集中する考えを強調した。「その先のことは、その上で考えたい」と慎重な言い回しにとどめた。
 一方で、首相は元日の年頭所感で「2020年、その先を見据えながら新たな国創りに向けて改革を力強く進める」と述べ、長期政権への意欲をにじませている。3選されるかどうかが焦点となる総裁選だが、5年間の「安倍政治」を振り返り、検証することが欠かせない。
 年頭会見で、首相がまず言及したのは北朝鮮の核・ミサイル開発問題だ。日本を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しいという認識は理解できる。しかし「米国第一主義」を掲げるトランプ米政権に追従し、「圧力」一辺倒の対応だけで北朝鮮の政策を本当に変えさせることができるのかどうか。リスクと、外交戦略の有効性が問われよう。
 6年目を迎えたアベノミクスも、きっちり検証しなければならない。大規模な金融緩和によって、この5年で株価や土地などの価格は上昇し、企業収益も大きく改善した。
 きのうの東京株式市場の大発会でも、日経平均株価は740円余り値を上げて26年ぶりの高値になった。いわゆる「バブル期」並みの水準である。
 いくつかの経済指標も「バブル期」の数字を超え、景気拡大への期待が膨らんでいるのだろう。だが、依然として国民の実感は乏しい。個人消費が上向かない現実も見逃せない。
 金融緩和は円安と株高をもたらしたものの、低金利の下で投資や消費を活発化させ、本来の目的である物価上昇を達成できていないのは確かだ。リスクやデメリットも指摘され始めた金融緩和政策の見直しのため、議論する時を迎えている。
 森友・加計問題を巡り、「1強政治のおごりだ」との批判を受けた政治姿勢にも、国民の厳しい視線が注がれたままだ。それなのに、きのうの会見では言及はなかった。通常国会でどう対応するのか、しっかり注視する必要がある。
 首相が悲願とする憲法改正も大事な局面を迎えそうだ。きのうの会見では「今年こそ憲法のあるべき姿を国民に提示し、憲法改正に向けた議論を深めていきたい」と述べ、自民党として具体的な改憲案を国会で示すことに意欲を示した。
 だが議論の行方は不透明だ。連立を組む公明党は9条改正には慎重で、野党第1党の立憲民主党も反対する。なぜ憲法を改正しなければならないのか。多くの国民が理解しているとは言い難い。強引に推し進めることは望んではいないはずだ。
 昨年の衆院選で国政選挙5連勝を果たし、「安倍1強体制」は数の上では安定しているように見える。国政選挙の予定も当面ない。だからこそ、持続可能な社会保障制度の構築や財政再建などの難題と向き合い、思い切った政策展開に向けて議論を尽くす機会にしてほしい。

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