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【京都新聞】 首相年頭会見  改憲議論急ぎすぎるな

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 何としても憲法改正の議論を進めたい-。そんな思いがあまりにも強くにじみ出ていた。
 安倍晋三首相はきのうの年頭記者会見で、北朝鮮の脅威を強調し、改憲への強い意欲を示した。
 北朝鮮の核・ミサイル開発に関して、日本の安全保障環境が「戦後最も厳しい」と指摘。改憲については「憲法のあるべき姿を国民に示し、改正に向けた議論を深める1年にしたい」と語った。
 会見では、北朝鮮への対応に当たる自衛隊員の使命感に言及し、昨年5月に自ら表明した憲法9条への自衛隊明確化にも触れた。北朝鮮の脅威と改憲問題を関連づける狙いがあるように受け取れる。
 安倍首相は秋の国会発議に照準を合わせ、改憲論議を促す方針とされる。ただ、安倍首相自身が会見で述べたように、憲法は「この国のかたち、理想の姿」を示すものである。与野党はもとより、国民の幅広い合意が必要だ。
 拙速を避け、丁寧な議論が不可欠だ。それ以前に、なぜ改正が必要かという根本的な問いに、きちんと答えなければならない。
 自民党の憲法改正推進本部は論点整理で、9条への自衛隊明記のほか教育充実、緊急事態条項、参院選「合区」解消の4項目をまとめている。来月にも党の改憲案を国会の憲法審査会に示すという。
 しかし、日本世論調査会が先月行った世論調査では、改憲を必要と思う人が過半数を占めた半面、安倍首相の下での改憲反対が半数超となった。安倍首相の前のめり姿勢が、逆に国民の警戒感を呼び起こしているのではないか。
 国会発議の後、国民投票がある。国民が判断材料とするためにも、明確な論点の提示が必要だ。
 同党の論点整理のうち、教育充実や緊急事態条項、合区解消は法律改正で可能との指摘がある。安倍首相が対応の緊急性を強調した北朝鮮についても、自衛隊の憲法明記で脅威がやむわけではない。
 安倍首相は、具体的検討は党に任せると述べたが、党内議論も深まっているとは言い難い。
 衆参両院で発議に必要な3分の2以上の議席が維持できる来年夏の参院選までに改憲を実現したい意図があるのだろう。だが、スケジュールありきは許されない。
 安倍首相は、9月の党総裁選で3選を果たせば、来年11月には首相在任日数が歴代最長で戦前の桂太郎を超えることになる。
 歴史に名を残す可能性を持つのであればこそ、改憲について世論の声に謙虚に耳を傾けてほしい。

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