Home > 社説 > 地方紙 > 北海道・東北地方 > 岩手日報(岩手県) > 【岩手日報】 <平成の30年>交通の光と影 地域の維持へ再構築を
E085-IWATENIPO

【岩手日報】 <平成の30年>交通の光と影 地域の維持へ再構築を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 昭和に高速交通が次々と整備されてきた県土は、平成に入ってその交通網が着実に拡充された。一方で、地域の足となるローカル公共交通は苦境の度合いを増していった。
 高度成長時代を経て加速する過疎化を投影するのが交通問題だ。地域社会の存続を握る鍵ともなっている。生命線をどう維持するか、住民が率先して知恵を絞らなければならない。
 道路の整備では、平成に入ってすぐ東北自動車道八戸線が八戸から安代までつながった。東北横断自動車道釜石秋田線は全通まであと少し。復興道路の三陸沿岸道路の工事も急ピッチだ。
 高速道が寄与する観光や物流の経済効果は大きい。ただ、地域によっては負の面も出ている。買い物客は町村部から都市部に流出している。
 高速化の象徴的な存在は新幹線だ。上野から延びて東京駅に直結。北は盛岡から八戸、青森へと延伸し、北海道までつながった。
 新幹線が輝きを増す一方、地方鉄道には影が差す。国鉄廃止対象路線や未開通区間を全通させて発足した第三セクター三陸鉄道は赤字に転落。新幹線延伸に伴い盛岡以北の並行在来線も三セクのIGRいわて銀河鉄道となった。
 県職員として整備新幹線や並行在来線対策に携わった望月正彦前三鉄社長は「国の政策によって押しつけられた地方鉄道の運営は青息吐息の状態」と厳しい実態を明かす。
 県立大総合政策学部の宇佐美誠史講師(地域交通論)は「首都圏が身近になり、人や文化の往来が進んだ」と新幹線の効用を説く。一方、山田線移管後の三鉄とIGRを足すと240キロを超えることに「これだけ長い三セク路線を持つ県は他にない」と県民が背負う負担を指摘する。
 将来、地方路線の運営がさらに大変になるのは必至だ。維持のためにはマイレールとしての利用促進と負担の覚悟が住民に問われる。
 バスは路線の維持・確保のため、広域幹線路線への公的補助や、市町村によるコミュニティーバス運行が行われているが、財政的な限界も見える。予約に応じて運行するデマンド方式などさまざまな可能性が探られることになる。
 宇佐美氏は現状について「『総合交通』という考え方が足りない」と指摘する。列車、バス、マイカーを有機的に組み合わせて地域をカバーしていく視点が欠かせない。
 人口減少社会にあっては居住機能の集約が求められ、交通はそれを支える重要な役割を担う。まちづくりと公共交通をセットとして構築し、いかに地域の存続・発展を図っていくか。「平成後」はその課題が一層重みを増すことになろう。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。