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【北國新聞】 6年目の安倍政権 半島非核化へ正念場の外交

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 東アジアの戦後秩序が激変する不安のなかで年が改まった。国連決議に反して核・ミサイル開発を進める北朝鮮が政策を変え、対話を求めてくるまで、米国とともに最大限の圧力をかける。安倍晋三首相が年頭記者会見であらためて強調した外交戦略は、まさに正念場を迎えている。
 パックスアメリカーナ(米国主導の平和秩序)といわれた時代はいよいよ終わりを告げ、5大国がパワーゲームを繰り広げた19世紀欧州のような世界になる、といった見方も現実味を帯びる国際情勢であり、戦後日本の外交・安全保障政策は根本からの見直しを迫られていると認識したい。
 核を放棄しなければ、国際社会で永続できない。そのことを骨身にしみる制裁で北朝鮮に分からせようとする日米と韓国の戦略は、中国、ロシアの本気の協力を必要としている。核大国の米国と中ロが駆け引きに明け暮れて核管理に失敗し、北朝鮮を「核保有国」として認めざるを得ない事態になれば、世界で「核の連鎖」が起き、核不拡散体制は崩壊しよう。
 日本にとって、これ以上の「悪夢」はなく、核大国も独占的地位を失うことになる。朝鮮半島の非核化は、核保有国の責任であり、それぞれの国益でもあることを、安倍首相はだれよりも強く説き続けなければなるまい。
 北朝鮮の核危機で試練の安倍外交は、平和友好条約を締結して今年40年の中国との関係でこそ真価が試される。
 北朝鮮がさらに挑発行動に出れば、米韓とともに、中国が原油輸出制限というより強力な制裁に踏み切るよう仕向ける。中国の力による東・南シナ海支配を許さず、日米豪印を主軸とするインド太平洋戦略を主導しながら、中国と互恵の関係を築く。そうした難しい多国間外交をしたたかにやり抜いてもらいたい。
 米国防衛を絶対視するトランプ大統領が、北朝鮮に対して予防的な軍事行動に出る可能性もゼロではない。政府は「悪夢」も含めたあらゆる事態を想定して、対応策を考えておく必要がある。
 東アジアの戦後秩序が崩壊しつつある現状は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持する」という現憲法の非現実性をあらためて浮かび上がらせてもいる。核危機をあおって改憲を促すようなことは戒めながら、与野党の立場を超えて第9条を含む改憲案をまとめ、国民の判断を仰いでほしい。9条論議では、自衛隊を「軍隊」として認めるかどうかという最も本質的な問題から、いつまでも目をそらしていてはなるまい。
 デフレ脱却へ向けて、安倍内閣の経済運営も正念場にある。第2次政権発足から6年目を迎えて、なお脱デフレが内政の最重要課題であり続けることは、安倍首相にとって不本意であろう。
 企業収益が増え、雇用情勢が改善されて株価も上昇する状況は、金融緩和、財政出動、成長戦略を柱とする安倍政権の経済政策によるところが大きい。景気拡大がデータで示される一方で、それを実感できない中小企業は依然多く、2%の物価目標も遠い。業種によって人手不足は深刻であり、北朝鮮情勢が経済のリスク要因にもなっている。
 それでも、消費者物価指数などの動きから、脱デフレへの道筋は着実に広がっているといえ、今年こそ政府がデフレ脱却宣言を出せる状況に至ってほしい。当面の最大の景気対策は、新年度予算の円滑な執行と、先に決定した2兆円規模の経済政策パッケージの実行である。政策パッケージは、19年10月の消費税率引き上げによる税収増を原資とした幼児教育無償化や、賃上げと生産性向上に取り組む中小企業支援が柱である。今春の賃上げは、脱デフレの大きなカギとなろう。財政と成長政策面からのテコ入れも考えられる。
 前途への悲観や疑心から経済成長の力は生まれない。消費税増税による育児や教育支援が現役・子育て世代に希望や意欲を与えることを期待する。が、既定の増税路線は消費者の心理、行動の重しとなり、景気に影響を及ぼす懸念も拭い難い。地政学的リスクは朝鮮半島だけではなく、経済状況次第で消費税増税を見送る柔軟性も求めておきたい。

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